JR京葉線、ラッシュ時の快速を廃止→全て各駅停車に…「悪夢の改悪」悲鳴続出

 朝の時間帯は快速がなくなって各駅停車になると蘇我-東京間が平均14分長くなるとのことだが、朝の14分は短いようで長い。出勤前に小さい子どもを保育園に連れて行く家庭だと毎朝、今までより20分ほど早く起床しなければならなくなるケースも出てくる。『快速が止まるから』という理由でマンションや戸建て住宅を買った人は怒るだろうが、これまで快速が止まらなかった駅を利用する人は本数が増えるので純粋に嬉しい話。メリットを得る人とデメリットを被る人が生じるのは仕方ないが、現状すでにラッシュ時には混雑のせいで快速も各駅停車も速さに大きな差がなくなっているのだとすれば、トータルでみると大きな影響は出ないという結果になるのかもしれない」

通勤快速・快速を削らざるを得なかった?

 鉄道ジャーナリストの梅原淳氏はいう。

「2つの理由が考えられます。一つは朝夕のラッシュ時に通勤快速・快速の人気、特に停車駅の少ない通勤快速に人気があり、各駅停車との混雑度に著しく違いがあるからです。本来でしたら、通勤快速・快速を増発すればよいのでしょうが、そうしますと通勤快速が停車しない駅に停車する各駅停車の本数を減らさざるを得ず、通勤快速や快速を廃止とすることで人気の差をなくして均等に列車に乗ってもらおうとしたといえます。もう一つの理由は、沿線の住宅開発などによって各駅停車しか停車しない駅の利用者が増え、各駅停車の増発も求められたからだと考えられます。どちらの理由であっても、駅への待避線の新設といった大規模な設備投資を行わないで各駅停車を増発するには通勤快速・快速を削らざるを得ず、今回のような変更となったといえます」

 このダイヤ変更は、利用者にとってメリット、デメリットのどちらのほうが大きいのか。

「通勤快速・快速の利用者、それから東京-蘇我間を通して利用する人や内房線・外房線に直通して長距離を利用する人にとってはデメリット、各駅停車しか停車しない駅や近距離の利用者にとってはメリットがあると思います。どちらからというとデメリットのほうが大きいでしょう」(梅原氏)

 朝夕の時間帯に快速や通勤快速を廃止するという動きは今後、他の路線でも広まっていくと考えられるのか。

「現在快速が運行されている南武線では1970年代に川崎-登戸間に快速がありましたが、いったん1978年に廃止となり、その後復活して今に至るというように、概して快速は新たに増えるケースがこれまではほとんどでした。そのようななか、京葉線での動向は新しい考え方といえます。各駅停車しか停車しない駅の利用者が増えたり、利用動向から長距離ではなく短距離の利用者が多いという路線では、京葉線のような動きはまだ広まりつつありませんが、今後は増えていくかもしれません」(梅原氏)

(文=Business Journal編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)