別のIT企業SEはいう。
「システムは大雑把にいうと『なんとなく使いやすくて操作中に迷うことがない』ものと、『なんとなく使いにくく操作中に迷う』ものに分けられるが、マクドナルドやすき家は前者、松屋は後者といえ、松屋の券売機は支払いが完了するまでにタップする回数が多くて時間がかかる。これは操作フローの設計の問題もあるだろうが、松屋のメニュー構成も影響しているのかもしれない。例えば定食で生野菜のサラダを抜いてメインの肉料理とライス、味噌汁のみにしたい場合、ライスセットという形態を選ぶことになるが、これは定食カテゴリーでは注文できない仕様になっている模様。なので、いったん定食を選んだ後にそれをキャンセルして、メイン、ライス、味噌汁をすべて単品でカートに入れる人も出てくるだろうが、そういう人は『これは面倒』と感じるだろう。また、丼物だけを単品で注文したい人にとっては、サイドメニューはいらないということをいちいち確認させられたり、どのボタンを押せばよいのかわかりにくいシーンもあり、イラっとしてしまうつくりになっている」
あまり改善はみられないようだが、外食チェーン関係者はいう。
「松屋は今、スマホアプリ『松屋モバイルオーダー』からのオーダーの比率を高めようと力を入れている。公式YouTubeチャンネルにも、店内で自席に座ったままスマホでオーダーできる便利さをPRする動画をアップしており、場所も占有して維持費もかかる券売機を減らしていきたいという思惑があるのだろう」
このYouTube動画では『券売機に並ばない!』というキャッチコピーが打ち出され、男性客が券売機の前にできた行列を一瞥しながら店内に入り、席に座ったままスマホアプリでオーダーするという内容だが、自社が設計した券売機でもたついている客を見下しているようだという反応も寄せられている。
松屋は券売機で発行される食券を客が持って席に着き、料理が出来上がると、受け取りカウンター上部にある画面上で食券に書かれた番号が出来上がりのステータスになり、客が自らカウンターに行き料理を受け取るという仕組みだ。松屋の公式アプリ「松屋モバイルオーダー」を使って来店前にスマホで注文と支払い決済を行い、表示されたQRコードを券売機にかざして食券を発行させることも可能。
参考に他の牛丼チェーンを見てみると、吉野家には券売機はなく(一部店舗を除く)、同店で見慣れたコの字型のカウンターかテーブル席に座ると店員がお茶を運んできてくれ、口頭で店員に注文する方式の店舗が多い。また、すき家は、入口付近の券売機、または席に置かれたタブレットから注文をするが、店員に口頭で注文することも可能。来店前にスマホアプリから注文・支払いすることも可能だ。
(文=Business Journal編集部)