企業側が理工系の女性に対し、期待していることはどのようなものなのか。
「女性のほうがクリエイティブだとか感性が高いという話を耳にしますが、企業として女性特有のそういった能力を求めているということではないようです。組織を多様化して、いろいろな属性の人で構成することで創造性を高めたいというのが企業の考えなのでしょう。その一環として女性に着目しているということです。グローバルに活動する企業であれば、女性の雇用だけでなく国籍や人種という観点でも割合を設定しているケースも耳にします。ただ、女性の雇用を促進するには、産休の仕組みや産休後の職場復帰のフォローなどが必要となり、財務的に余裕がない企業では後手後手になってしまっている場合もあります」(同)
一方で、理工系の大学・大学院の教員や、企業の研究職では今でも男性が多いイメージだが、この道を希望する女性はどのようなことに注意をすればいいのだろうか。
「研究職となると、日々進歩する技術を常に追いかけていく必要があるため、キャリアのブランクが致命的になってしまうことが考えられます。キャリアのブランクが致命的なのは女性に限った話ではありませんが、出産といったライフイベントが男性よりも多いため、キャリアのブランクが発生しやすいのが現状でしょう。ダイバーシティに力を入れている民間企業などであれば、研究職でも道があるかもしれませんが、ダイバーシティに力を割けていない企業や大学の研究職は難しいのかもしれません」(同)
(文=LUIS FIELD、協力=安藤健/人材研究所シニアコンサルタント)