記事内では、柳井氏の経営スタイルは「独裁者」であり、同氏の死後にファストリは「普通の会社」になると分析する経営コンサルタントの発言も紹介されているが、元ファストリ社員はいう。
「かなり昔のことだが、ファストリがある海外エリアを統括する人材を探していた際に、候補者になった人が柳井さんの独裁的な手法を嫌って辞退したことがあった。柳井さんに独裁的な面があったことは事実であり、部下に高い要求を出しておいて、それを達成しても褒めないという性格も知られている。ただ、ソフトバンクにせよ楽天にせよベンチャーから大企業に成長した企業は、どこも優秀かつ独裁色の強いトップに率いられて成功したという点は共通している。ただ、柳井さんは自分の考えに固執するというタイプではなく、特に外部から新たな気付きを与えられると、それをすぐに取り入れようとする柔軟さも兼ね備えている。
また、『死後に普通の会社になる』という指摘については、ファストリは現在、グループ全体で6万人の従業員を抱え、世界中に店舗と工場を展開しており、すでに十分『普通の会社』になっている。グローバルに事業を展開する仕組みが確立されているので、柳井さんがいなくなっても大きな影響はないだろう」
(文=Business Journal編集部、協力=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)