すると、最初のゴリラは「いま俺はこいつと話しているんだ!」と怒り出し、筆者そっちのけで2匹のゴリラの喧嘩がはじまった。まるで動物園の檻の中にいるようだと思いつつ、ただ呆然と2匹の様子を眺めるほかなかった。
もちろん、さまざまな人がいるのでいいコミュニケーションばかりではない。しかし、虫を捕まえてそれをみんなで観察したり、一緒に奇妙なポーズを取ったりと、ゴリラの縄張り内でさまざまなコミュニケーションが促進されるような場になっているわけだ。
鬼ごっこをまじめにやってもいいし、ダラダラしゃべるだけでもよい。誰か友達がいそうな公園と、そうでない公園があったとしたら、前者に行くだろう。現在は「人が集まりそうなところには人が集まる」という当たり前の事実が大きな魅力となっていると思われる。
日本人がいない理由は、端的にいえば英語でコミュニケーションをとっていることが多いからだろう。本作はフレンドと遊ぶこともできるので、プライベートルームに引きこもっている日本人もいるはずだ。
また、意外と身体を使うゲームのため、広い部屋がほしいのも正直なところである。筆者もプレーするうちに部屋の中をうろうろ移動していたし、狭い場所で遊ぶと何かにぶつけるのは容易に想像できる。実際、ユーザーレビューのなかには「手を切ってしまった」だとか「手痛い怪我をしたが私はまたゴリラになるだろう」と書かれているものもあった。
ゆえに『Gorilla Tag』が日本ではやるかはかなり微妙なところなのだが、いずれにせよ注目に値するゲームではあるだろう。ゴリラとして暴れまわることが楽しいコミュニケーションになり、こぞってみんながゴリラになろうとしているのだから。