「自分は有能」と勘違いする残念な人に欠けた視点

私はこれまで2万人を超えるビジネスパーソンやトップアスリートたちとお会いし、このような数学的なスキルの指導を行ってきました。

実は彼らのほとんどは、「因数分解」という概念をなんとなくでも知っています。かつて数学の授業で勉強したこと。物事を要素分解すること。問題解決に必要なこと。表現こそ違いますが、彼らが認識しているものに大きな差はありません。

しかし、因数分解の知識を実際のビジネスに応用できているかというと、ほとんどの人ができていません

「知っている」から「実際にできる」までを橋渡しすることが私のような教育者の仕事です。どうすれば「実際にできる」まで導けるか、徹底的に研究してきました。

この記事の読者の中にもまさにそこに課題を感じている方もいるかもしれません。そこで私の研究で生まれた、誰でもすぐにできるコツをひとつご紹介します。

そのコツとは、「2つの掛け算」に分解することです。こうして表記すれば「そんな簡単なこと?」と思われるかもしれません。しかしこの動作がパワフルな理由があります。

まずは「2つに分ける」ことから始める

因数分解とは、文字通り分解することです。ここで重要になるのは次の問いです。

Q 分解することの最小単位は?

答えは「2」です。「1つに分ける」という概念は存在しません(少なくとも私はそう考える立場です)。よって分けるという動作の最小は「2つに分ける」です。

「2」をつくれない人が「3」や「4」はつくれません。いきなり「3」や「4」を目指すから、難しくなるのです。まずは「2」をつくってから、さらに必要であれば「3」や「4」を目指せばいいのです。

もしあなたが、何かを分けて考えてみようと思ってもうまくいかず、苦手意識を持っているようでしたら、まずは最小単位で練習をしてはいかがでしょうか。なぜなら、それがもっともシンプルで簡単だからです。

先ほどの例も、まさに「2」をつくる発想があるかどうかの差が表れています。

(成果を決めるもの)=(自分のスキル) 

(成果を決めるもの)=(会社のブランド)×(自分のスキル)

このような視点でビジネスの世界を眺め、常に「2」をつくるトレーニングをすることは因数分解が得意な頭脳をつくるために極めて有効です。

いくつか例を示しておきましょう。

(売り上げ)=(客数)×(客単価)

(成果)=(質)×(量)

(問題)=(誰の問題か)×(何が問題か)

(施策のインパクト)=(影響範囲の大きさ)×(影響が出る割合)

最後に私からエクササイズをご提案いたします。

<エクササイズ>
次を「2つの掛け算」に分解せよ。
?生産性
?管理徹底

これらは私が実際に企業研修で演習として課すテーマです。生産性が上がらない企業にはどんな特徴があるでしょうか。仕事の管理徹底ができていないビジネスパーソンは何が問題なのでしょうか。

もちろん、唯一の正解はありません。あなたなりのユニークかつ本質的な回答ができればいいのです。ぜひチャレンジしてみてください。