要領が悪い人は正しい「手抜き」の仕方を知らない

自分がストレスを感じず、体にも負担をかけず、いい結果が出る可能性があるわけですから、手抜きと言われようが気にすることなどありません。
若い頃はひたすら頑張ることで乗り切ってきた人も、人一倍の努力で成果を上げてきた人も、年をとってそんなことをすれば心身に負担がかかるだけです。これからの人生がうまく回るために、いい手抜き法を身につけましょう。

仕事ができる人はうまい方法を知っている

私の知り合いで官僚時代に驚異的に仕事ができて、出世コースのトップを走っていた人がいます。その人に仕事の秘訣を聞いたところ、「和田さん、簡単ですよ」と言うのです。

上司から与えられた仕事をすべてやっていたら、いつまでたっても終わらない。毎日夜中まで仕事をしても終わらない量だそうです。ではどうするかというと、彼のやり方はまず2つ。

ひとつは、見込みのある上司から頼まれた仕事は一生懸命やるということです。一方で、おそらく出世しないと思う上司から頼まれた仕事は、できるだけやらない。

見込みのある上司の仕事を手早くこなして成果を見せると、「さすがだね」と褒められて、その次もその人から仕事が回ってくるのだそうです。
一方、見込みのない上司から頼まれた仕事は、基本、手をつけない。「あの仕事はどうなってる」と聞かれたら、「いや、こんな仕事ができるなんて皆さん優秀なんですね。とても私の手には負えませんでした」と答える。すると、仕方のないやつだということになって、その仕事はさっと他の人のところに回るのだそうです。

そしてもうひとつは、自分の得意な仕事に一生懸命取り組み、苦手な仕事は放っておくことです。すると、苦手な仕事は回ってこなくなって、得意な仕事ばかり回ってくるので「できる人」という評価を得られるというのです。

すべてに100%の力を注いでいると潰れる

このような話を聞くと「それはズルい」と言う人が必ず現れるでしょう。ところが、そんな要領の悪い人たちはといえば、大して出世しそうもない上司のもとで、その人が手放した仕事の残務処理に一生懸命になったり、苦手な仕事と毎晩遅くまで格闘したりした挙げ句、体を壊してしまったりするわけです。

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「2人の上司から頼まれた仕事を、片方だけ真面目にやって、もう一方は手を抜くなど許されないことだ」と思うようなタイプの人は、どうか考え直してみてください。

そもそも複数の上司が、部下の状況を把握した上でできるだけの仕事を振っているというわけでもないでしょう。与えられたことはきちんとやらなければならないという姿勢は一見美徳に思えますが、そもそもそれがオーバーワークだとわかるのも自分だけです。

会社にしても役所にしても、組織は全員で仕事を回してゆくところです。だから、得意なところ、おいしいところから自分の仕事にしてゆけばいいものなのです。

仕事にしても何にしても、すべてに100%の力を注いでいては潰れてしまいます。自分を苦しめることもなく、効率よくいい結果を出すことができるのは、うまい具合に手を抜けるゆるい人なのです。