2004年9月にサービスを開始した「アメブロ」は、サイバーエージェント社の主力事業である。
立ち上げ当初、広告代理店事業が主力だった同社が「メディア企業に生まれ変わるきっかけになった」と解説するのは、Amebaブログ事業部責任者の山本翔大氏だ。
同社による2023年10~12月期の資料では「国内最大級のメディア」として、ユーザーに広く浸透。月間訪問者数は延べ7500万人で月間PVは50億回。月間ブログ投稿数は550万件に及ぶ。
ユーザー属性は「読者とブロガーの双方で女性が7割、30~50代が全体の8割」を占める。
人気ジャンルは「子育て」や「ファッション」で、ブロガーが「等身大のライフスタイル」を発信するコンテンツへの需要が高いという。
短文投稿型SNS「X(旧・Twitter)」や、写真や動画の投稿が主目的のSNS「Instagram」。ショート動画の投稿が主目的のSNS「TikTok」など、競合プラットフォームが数多くある現代で、なぜ、今なお「アメブロ」は愛されるのか。
「X」やコンテンツ発信プラットフォーム「note」など、競合ひしめく中でも支持を得るのは、「ノウハウを体系立てて発信するのではなく、ありのままの生活を見せた親近感ある投稿が多く、共感するユーザーが多いからではないか」と、山本氏はユーザーへのヒアリング経験から分析する。
主要なSNSでは“映え”を狙い、自身の日常生活とかけ離れた背伸びしたかのような投稿も見られる。
そのカウンターメディアとして、子育て日記のように私生活をさらけ出せる場所であるのも、アメブロが支持される理由なのだろう。
また、2004年9月のサービス開始当初はインターネット上で数少ない情報発信ツールだったが、スマートフォンの浸透などにより環境は変化した。
しかし、複数の情報発信ツールを扱える時代となっても、「アメブロ」は「情報発信の拠点」として存在。
写真や動画の投稿が主目的のSNS「Instagram」で日常を発信する著名人が、大事な投稿をブログに頼るのは顕著な例だ。
ただ、情報発信プラットフォームの老舗ではありながら「アメブロ」も生き残りは課題だ。
2020年4月にブログ収益化を可能にする公式アフィリエイトサービス「Ameba Pick」をスタートするなど、情報発信という本来の目的にプラスアルファして、ユーザーが発信した情報に金銭的な付加価値を加える手段を提供している。
UI(ユーザーインターフェース)の改善も行い、通信容量に制限がなくなってきた時代に合わせて、ブログ内でリッチコンテンツ(音声や動画など、動的コンテンツの総称)も使用可能に。
記事のコメントを通してブロガー同士、ブロガーと読者の交流が生まれる「コミュニティ」としての役割も特徴に、メディアプラットフォームとしての存在感を示す。