現役コンサルが3秒で相手に伝える「凄い話し方」

(写真:takeuchi masato/PIXTA)
コンサルタントは形ある製品がない商売なだけに、その知識や戦略を伝えるための「言葉」を武器にしなければいけない。
 
では、やり手の経営者や知識豊富な現場の人間、さらには百戦錬磨の上司を前にしたとき、コンサルタントたちはどのような伝え方を意識しているのか?
 
大手総合コンサルタントファームで働きつつ、プレゼン講師やSNSでコンサル仕事術を発信する、しゅうマナビジネス氏は「まず3秒の一言で、相手に聞く姿勢になってもらうことが重要だ」と話す。
 
同氏の著作『3秒で伝える コンサルが使う[シンプルな言葉で相手を動かす]会話術』から一部内容を抜粋し、コンサルが駆使する伝え方のコツを紹介する。
 

コンサルに転職して直面した「異文化」

私は現在、コンサルとして働きだして十数年目になります。今では自分のチームを抱えて後輩の指導をしたり、プレゼン講師として5000人超の方に講義を行ってきましたが、最初から伝えるのが得意だったわけではありません。

内容がきちんと伝わらないことを恐れて「あれもこれも伝えよう」とした結果、相手には何も伝わらない……。

そんな場面を何度も繰り返し、人前で話すのが大の苦手で、むしろ説明下手なことがコンプレックスだった時期もあります。

そのコンプレックスを克服し、それなりに話せるようになったのは、前職のITエンジニアからコンサルティング業界に転職してからでした。

転職当時のコンサルティング業界は、「UP or OUT」と呼ばれていた時代でした。UP or OUTとは、バリバリ結果を残して評価してもらい、昇進(UP)するか、評価されずに仕事がなくなり退職(OUT)するかということです。

それだけに、どのコンサルタントも我が強く、同じファームの看板を背負っているにも関わらず、「上に上がるのは自分だ」という競争意識がすごかったです。

ただ、当時のファーム環境から学べることは非常に多かったです。その最たるものが、「シンプルに伝えるのが正解」ということです。

相手の疑問には、後から答えればいい

当時の私は、「ダラダラと長く話してしまう人」の典型例でした。前職のIT業界では、話の抜け漏れがプログラムのミスやシステムの不具合を招く恐れがあるため、情報を正しくすべて伝えることが重要視されていたので、どうしても話が長くなる傾向にあったのです。

加えて、ほかのコンサルタントがリーダーに散々指摘されるのを見て、元々臆病な性格もあいまって、正直かなりビビりながら働いていました。
「自分より知識のあるリーダーに難しいことを聞かれたらどうしよう」
「隙があったら突っ込まれるので、抜け漏れなく細かく説明しよう」
「変に突っ込まれるのが怖いから、言い訳をして予防線を張っておきたい」

そんな具合に、自分なりに突っ込まれるポイントを減らそうと挑んだのですが……結果はいつも惨敗。

「話が長すぎて何が言いたいのかわからん。もっと整理して持ってこい」

報告内容によっては少しイライラしながら「で?」の一言で片づけられる始末です。

そんなある日、リーダーに対して報告しても全然伝わらないことについて、同じチームの先輩に相談したことがあります。

先輩は「ちょっとビビりすぎてない?」と私の心情を理解してくれていたうえで、このようにアドバイスをしてくれました。

先輩「まず言いたいことだけスパっと伝えたらいいよ。足りないピースは相手から求めてくるから」
私 「足りないピース、ですか?」
先輩「キミは誤解されたらダメだと思って、いつも詳しく説明してくれるけど、相手が知ってる情報だったら回りくどく感じるんだよ。スパっとシンプルに伝えたら、相手の頭の中に『?』ができる。あとはその『?』に答えていくだけでいいんだよ」