「仕事をさっさと始められない人」共通の傾向2つ

仕事ができる人は、与えられた締め切りよりも少し前に自分なりの締め切りを設定して、その間際に最も力を注ぎ込んでいることがAI分析でわかっています。

最後の「詰め」が甘くなると、差し戻しが生じて評価が下がることを経験として知っているため、彼らはこの最終段階に自分の時間とエネルギーを集中させることを意識して日常の仕事に取り組んでいます。

成果につながる大事なポイントを見極め、自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分して最高のパフォーマンスを発揮する……という考え方を「エッセンシャル思考」といいます。このように最も大事なところに、限りある時間とエネルギーを集中させるためには、早めにスタートを切ることが欠かせません。初速を上げることは、仕事の効率化や成果の最大化に直結するのです。

【メリット②】
「行動実験」が可能になり、多くの修正ポイントを発見できる

現代のビジネスには、「こうすれば必ずうまくいく」という最適解が存在しません。あらゆるタスクに「正解」がない時代ですから、いきなり成功を目指すのではなく、たくさんの失敗の先に成功がある……と考えて動く必要があります。

仕事ができる人は「成功or失敗」の二元論ではなく、いくつもの失敗を積み重ねた先に成功があることを理解しており、小さな「行動実験」を繰り返しては、失敗から得た学びをもとに行動を修正することで、最終的に成功にたどり着く……という考え方をしています。

問題点を見つけ出し、それをクリアしながら成功への道筋を組み立てていく……という働き方が、現代の多くの企業が切望している「自律型人材」といわれるものです。

現代のビジネスでは、こうした行動習慣を身につけることが求められていますが、それを可能にするためには、「初速を早くする」ことがポイントとなります。初速を上げることによって、行動実験を繰り返すことができれば、それだけ早く成果を出すことができるのです。

ギリギリにならないと動けない理由

仕事は「早く始めて、早く終える」ことが理想ですが、現実的には、それほどうまくはいきません。小学生の頃の夏休みの宿題と同じように、期限ギリギリになって、ようやく重い腰を上げる人がほとんどではないでしょうか?

こうした行動パターンは、老若男女や洋の東西を問わず、誰にでも共通しているようですが、そのメカニズムは心理学によって解明されています。明確な期限が設定されていると、人間には2つの心理的なバイアス(偏り)が働くといわれています。

【バイアス①】
リミット直前になると、一気に集中力が高まる「締め切り効果」

明確な締め切りが設定されていると、「それに遅れてはまずい」という理性が働くことで、リミット直前になると一気に集中力が高まり、これまでにないほどの猛スピードで作業ができる……という心理現象が「締め切り効果」です。

「火事場の馬鹿力」と同じように、切羽詰まった状況に追い込まれると、人間には驚くほどのパワーを発揮する能力があります。それを一度でも経験すると、「まだ大丈夫だな」と時間を逆算する習慣が生まれると考えられています。

「先延ばし癖」今すぐやめる

【バイアス②】
期限ギリギリまで仕事を膨張させてしまう「パーキンソンの法則」

「パーキンソンの法則」とは、英国の歴史政治学者パーキンソンが提唱した「仕事の量は与えられた時間をすべて使い切るまで膨張する」という心理作用です。

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本来ならば40分で終わる社内会議を、会議室を60分で予約したからといって、時間一杯まで引き伸ばすようなケースは、日常的によくあります。

その20分がムダになるとわかっていても、時間を使い切りたいという気持ちが働いて、時間はあれば、あるだけ使おうと考えてしまうのです。

こうした心理効果は、上手に活用すれば効果を発揮することもありますが、その背後には大きな「罠」が潜んでいます。

締め切り効果にばかり頼っていると、ギリギリになるまで動き出さない「先延ばし癖」がついてしまうため、計画的なスケジュール管理ができなくなります。一番の問題点は、いつも期限一杯まで時間を使うことによって、次のタスクの初動がつねに遅くなってしまうことです。