「家族」というチームのつくり方

子どもの「将来の年収を増やす」カンタンな接し方

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子どもへの接し方によって、将来の学力や年収に差が出る

もし、お医者さんから「あなたの子どもは発達が遅れている」「自閉症の恐れがある」と言われたら、あなたはどうしますか?

これは、我が子に対して言われた言葉です。
子どもに惜しみない愛情を注ぎ、子どもが健やかに育つ環境を用意できていると思い込んでいた私たちは、その言葉によって自分たちの子育てを見直すことになったのです。

子どもの発達が遅れてしまう原因については、遺伝するとかしないとか、育て方によるとかよらないとか様々な説があり、はっきりとはわかっていないようです。
ですが、子どもへの接し方によってその子の将来の学力や年収に差が出るという研究データはたくさんあります。

未就学児に絵本の読み聞かせやパズルを使って遊ばせるときに、親がどのように声かけをしているかを分類し、その声かけの仕方による子どもの学力の変化を調査した実験があります。

親の声かけの仕方を大きく分けると、2つのアプローチ方法に分かれるそうです。強制型と共有型です。
強制型の親は、子どもに対して「指示」「命令」「禁止」をします。具体的には「これはこうしなさい」「これをやってみて」「これはやっちゃだめ」という声かけです。子どもに考える余地を与えず、たとえば「ママはそう言ったかな? 違うでしょ」というふうにして、子どもをコントロールするのです。
一方、共感型の親は、子どもに対して、「褒める」「励ます」「広げる」をします。「すごいね」「できるよ」「どうしてそうしたのかな? 面白いね」「こうしてみたらどう?」といったような声かけです。子どもに考える余地を与え、自分で選ばせるというアプローチ方法です。

この2つの声かけ によって、子どもの将来の学力にどういう影響があったのか。
なんと、共感型で育てられた子どもにはその後の学力に飛躍的な上昇が見られ、強制型の子どもよりも成績がよく、司法試験などの難解な試験の合格率も高かったそうです。

ついついやってしまう、「指示」「命令」「禁止」

この実験結果を踏まえて、日ごろの自分の子どもに対してのコミュニケーションが、強制型なのか共感型なのか、改めて考えてみましょう。
自分は共感型として接していると思いたくなるのですが、日常のやりとりは、つい強制型に陥りがちです。

たとえば、我が家の保育園に行くまでの準備。
うちの子は本当にのんびり屋で、起きて、トイレに行き、ご飯を食べ、歯を磨き、着替えて靴下を履いて靴を履き、家を出る、という朝のルーティンを、毎日毎日ちんたらちんたらやるのです。
私は出張も多く、時間が不規則なので、我が家で息子を起こすのはもっぱら妻の役割になっていました。普段冷静で、優しく対応する妻も、毎朝やられると、たまったものではないようで、最初のうちは「時間だよ、起きな~」「朝ですよ~」とマイルドに始まるのですが、時間も迫ってくると、だんだんと語気が荒くなり、

「起きなさい! 遅刻するよ!」
「早くご飯食べて!」
「歯磨きして、間に合わないよ!」
「着替え!! 違う!! 前後ろ逆!!」
「靴下!!」
「はい、靴履いて。あと5秒!! 5、4、3、2、1、時間切れ!!」
「遅れてもいいの? 知らないよ?」
「いいかげん自分でやって」

……これを、毎朝やっているのです。これらは共感型でしょうか? それとも強制型でしょうか?
言うまでもありません。「指示」「命令」「禁止」の強制型です。
ちなみに共感型の親は、「靴下履いたほうがいいと思わない?」と考える余地を持たせるのだとか。そうすべきなのはわかっていても、日々の生活のなかでついつい強制型になってしまうのです。

子どもの非認知能力を育てていますか?

共感型のアプローチが、なぜ子どもの学力に影響するのか。それには深いワケがあるそうです。

また別の実験ですが、マシュマロテストというのを聞いたことはありませんか? 非常に有名なテストで、次のようなものです。
マシュマロが好きな子供の目の前にマシュマロを1つ置き、「このマシュマロを食べずに我慢できたら、あとでマシュマロを2つあげるから我慢できる?」と質問します。「我慢できる」と約束した子どもが本当に我慢できるか、我慢できずに目の前のマシュマロを食べてしまうかで、その後の発達に影響があるか調べたテストです。

なお、マシュマロを食べずに我慢ができるかどうかといった能力を、非認知能力といいます。国語とか算数とか学力で測れるものを認知能力、それ以外の、意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、学力では測定できない個人の特性による能力のことを非認知能力というのです。

なんと、この非認知能力の高さが、学歴、雇用、収入に影響することが明らかになっているそうです。
非認知能力の要素として先ほど紹介した、意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力、これって社会に出たら必要なものばかりですよね。
想像してみてください。
意欲があって、協調性があって、粘り強くて、忍耐力があって、計画性があって、自制心があって、創造性があって、コミュニケーション能力が高い人。自分の部下だったら相当に優秀だと感じるでしょうし、それさえあれば他にはいらないというくらい素晴らしい人材ですよね。

そんなわけで、子育てにおいて認知能力以上に非認知能力を育むことが大事、というのは確かにそうだろうと思うのですが、非認知能力を育てることはなかなか意識されていないようです。
小学校受験にしても、認知能力だけの学力試験になっています。いわゆる「お勉強」をどう学ばせるかを気にしてしまいますが、非認知能力をどう伸ばすかということは、私たち親はあまり考えていません。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

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高野俊一 /
成績が振るわない。メンバーが互いに無関心で、いっさい協力し合わない。仕事を...
その仕事、部下に任せなさい。

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