「家族」というチームのつくり方

子どもの「将来の年収を増やす」カンタンな接し方

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大事なのは、自制心と自己効力感

様々な要素がある非認知能力ですが、学歴、雇用、収入にもっとも影響を与えるものが特に2つあることがわかりました。

1つめは、自制心。
さっきのマシュマロテストがまさにそれを測るテストだったのですが、この自制心を鍛えることがその後の人生に大きく影響すると言われています。
ちなみに、自制心の育て方としては「姿勢を良くする」ことが方法の1つだそうです。背筋を伸ばす習慣をつけると学力が伸びるのだとか。

学歴、雇用、収入に影響を与えるもう1つは、自己効力感。
少し難しい用語ですが、自己効力感とは「自分はできる!」と思える力で、やり抜く力とも言えます。

うちの話をしますが、我が子を見る限り、子どもというのは飽き性で、何かに取りかかってもすぐに飽きてしまいます。自制心とかやり抜く力とは対極にある印象です。そのため、きちんと自制でき、最後までやり抜く能力を身につけることで、子どもの人生が成功しやすくなるのだと知り、私は大きな衝撃を受けました。
どちらかといえば、子どもには制限させず、のびのびしていたほうが良さそうに感じませんか?
ですが、のびのびさせようという親心が、子どもの自制心や自己効力感が育つチャンスを奪っているのです。

我が家ではこう伝えたら上手くいった

では、具体的にどうすればいいのか。我が家では、まず、非認知能力に関するデータを夫婦で共有することから始めました。「どうやら、強制型と共感型のアプローチがあるらしいよ。うちはどっちだろうね?」、そう切り出したときの妻の反応は強烈でした。
「そう言われたら、強制型になっているかもね。でもさ、どうすればいいの? 毎朝毎朝だよ? 考える余地を与えるとかムリじゃない? 私のアプローチが悪いってこと?」
そんな強めの反発を受け、ケンカになりそうなムードになったのでいったんなだめ、私自身も同じように思ったことを伝え、この理屈を我が家にどう導入するか、二人で頭を悩ませました。
そして、無理かもしれないけどやってみようと決意し、子どもと対話することにしました。家族で夕食を取っている最中、私はこう切り出しました。

「〇〇くん、話があるんだけど、ちょっといいかな?」
「うん、いいよ。なに?」
「あのさ、〇〇くんさ、毎朝ママから起きなさいとか、早く着替えなさいとか言われてるでしょ。それについてどう思ってる?」
「えー。だって眠いんだもん」
「そうだよね、眠いよね。でもさ、それで毎朝、起きなさいとか怒られてたらさ、ママも大変だし、よくないと思わない? もしも〇〇くんがぱっと起きて、ごはんも食べて、歯も磨いて、着替えもして、靴も履いて、時間通りに家を出たらさ、すごくいいと思わない?」
「そうだけどさ、眠いしさ、できないよ」
「そうかな。何時に起きればやれると思う?」
「7:30に起きれば間に合うんじゃない?」
「8:00には家を出ないと間に合わないでしょ? 7:30で間に合うかな?」
「ごはんをばーっって食べれば間に合うよ」
「〇〇くん、ごはんいつもばーっと食べないじゃん。ゆーっくり食べてるでしょ?」
「じゃあ、7:20に起きれば間に合うかな」
「そうだね。じゃあ、スケジュールを書いてみよう。7:20に起きて、トイレしたら何時になる?」
「7:25」
「そこからごはんを何分で食べる?」
「20分くらいかな」
「そうしたら何時になる?」
「7:45」
「そのとおり。すごいね。そのあとは何するの?」
「着替える」
「歯磨きは?」
「磨く」
「何分かかる?」
「10分くらい」
「そうしたら何時になる?」
「7:55」
「そうだね。そのあとは何する?」
「着替える」
「家を出るの、8:00に間に合うかな」
「間に合うと思う」
「じゃあ、7:20に起きれば間に合うね。できそう?」
「でもなあ、眠いと思うんだよね」
「じゃあどうする? もう少し早く起きる?」
「うーん……7:10に起きる」
「ほんとに!? すごいね。7:10に起きれたら、どんなことが起こると思う?」
「ママが褒めてくれる」
「それはそうだね。ママもいっぱい褒めちゃうし、疲れないし、大喜びするかもね。やれそう?」
「うん。わかった」

そんなやりとりを終えて翌朝、我が息子はどうなったかというと、目覚ましが鳴り、「〇〇くん、7:10だよ。起きて」と声をかけると、なんと一発でむくっと起きたのです。そしてトイレに行き、時間を気にしながらごはんを食べ、歯を磨き、着替え、7:50には時間の余裕ができ、ゆっくりと会話をしてから靴を履き、時間通りに家を出ました。
以来、我が家では早朝から怒声を上げないといけない習慣はキレイになくなりました。妻からはものすごく感謝され、父として、夫としての株が上がったのでした。

子どもは言わないとわからない、「指示」「命令」「禁止」をしないと動かない、と思っていたのですが、子どもを子ども扱いしてはいけないのだと心から反省しました。
そうです。
共感型アプローチとは、子どもを1人の大人として扱うことと同意なのです。子どもに愛情があればあるほど、「やってあげないといけない」「かまってあげないといけない」と考えてしまいがちです。しかし、じつはその愛情の表現は、子ども扱いしてしまうことになりかねません。
私たち親は、子どもは不完全な存在だという認識を捨てることから始めたほうがいいのです。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

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その仕事、部下に任せなさい。

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