「家族」というチームのつくり方

「お互いに期待しない夫婦」の方がなぜかうまくいく訳

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現在に期待しない技術
「ストレッチゴール」

未来に期待し、過去に期待しない。これはわりとわかりやすく、実践しやすいと思います。

問題は、現在への期待です。
現在への期待もすべきではありません。期待値を究極まで下げます。「できるのが当たり前」ではなく、「できないのが当たり前」と考えるのです。

これが、なかなか難しい。
仕事がデキる人ほど仕事の基準が高く、「できて当たり前」の基準が高いのです。部下に期待しているからこそ、求める基準が高まるのです。

どうすれば、現在に期待しないで済むのかというと、「ストレッチゴール」という技術を身につけると、うまくいきやすくなります。

部下の資料のレベルが低かったときに、ネガティブなポイントを指摘する前に、立ち止まります。いったん期待値を下げ、できているところを見つけます。そしてそのうえで、改善点を「ストレッチゴール」で示します。

ストレッチは「伸ばす」という意味で、未来のゴールを伸ばすことをストレッチゴールといいます。
つまり、部下の仕事のポジティブな点とネガティブな点を見分け、ポジティブな面は褒め、ネガティブな面はストレッチゴールとして未来に示す、ということです。
以下のように、褒めて、ストレッチゴールを示すのです。

<褒める>
・ここはできているね
・ここは良くなっているね

<ストレッチゴール>
・ここはこう直してくれないか
・次からはこうしてほしい

そうしてストレッチゴールを示し、納期を決めてもう一度持ってきてもらいます。
そうすると、ネガティブな点を叱る必要がなく、まったく同じことを伝えているのに、部下は自信をつけ、イキイキと仕事をするようになります。
これが、「現在への期待をしない」ということの具体的アクションです。

夫婦で期待のコントロールを試す

現在に期待しないことは、そのまま夫婦や子供へのコミュニケーションにも応用できます。

この現在への期待をなくすことは、人によってはじつにカンタンにやれるのですが、苦手な人は、慣れるまで本当に苦労します。とても難しいことです。
なにせ、相手に期待することは、「良いこと」だと思ってやってきたわけです。それをやめようとなっても、すぐにはできるようにならないでしょう。

期待をコントロールするには、感情とうまく付き合う必要があります。仕事がデキる人ほど相手に期待してしまうのは、基準が高いからです。
基準が高いこと自体はとても素晴らしいことです。基準が高いからこそ、組織の当たり前のレベルが高まって、ビジネスはうまくいきます。
要は、「現在の期待を下げることが組織の基準を下げることではない」と心の底から思えるようになることが重要です。
ストレッチゴールとは、現在への期待を下げても、未来への期待につなげられるので、組織の基準を落とさずに済みます。

現在の期待のコントロールができない人は、このことが腹落ちしていません。
期待を落としても、大丈夫です。
組織の基準は下がりません。

相手に対して、「やってくれるのが当たり前」「できて当たり前」と思っていませんか。
「できないのが普通」「やれているのがスゴイ」となれば、自分の妻を褒めることができます。
そして、未来への期待を上手に伝えます。
自分がどうしてほしいのか、この伝え方については、別の回で詳しくお伝えします。

まずは、現在への期待を下げる。
できていることを褒める。
すると、夫婦関係は劇的に改善するはずです。

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プロフィール

高野俊一
高野俊一

組織開発コンサルタント。
1978年生まれ。日本最大規模のコンサルティング会社にて組織開発に13年関わり、300名を超えるコンサルタントの中で最優秀者に贈られる「コンサルタント・オブ・ザ・イヤー」を獲得。これまでに年200回、トータル2000社を超える企業の組織開発研修の企画・講師を経験。
指導してきたビジネスリーダーは累計2万人を超える。
2012年、組織開発専門のコンサルティング会社「株式会社チームD」を設立、現代表。
2020年よりYouTubeチャンネル『タカ社長のチームD大学』を開設。2023年6月現在、チャンネル登録者約3万5000人、総再生回数380万回。
2021年より、アルファポリスサイト上にてビジネス連載「上司1年目は“仕組み”を使え!」をスタート。改題・改稿を経て、このたび出版化。
著書に『その仕事、部下に任せなさい。』(アルファポリス)がある。

著書

チームづくりの教科書

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その仕事、部下に任せなさい。

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