世界で最も有名な科学者の一人であるダーウィンまで引っ張り出してきたのだから、ここで皆さんに格好よく具体的な『適応する』手段を授けたい。
ここで前提として大事なのは、人は無意識的に環境に適応しようとするものだと自覚しておくことだ。
環境が変化した際、人はその環境に自分が適応し何とかすべく、意識せずともその環境での生き方を工夫する。
つまり、そもそも個人での適応努力は誰もが無意識にやっているのだ。
ただし、上手くいかないことも多いだろう。
それはそうだ、自分以外の多くのことがガラッと変わるのだから、そう簡単に個人の努力がすぐに結果を呼び込むことも稀だろう。
結果、適応しようとした頑張りが実った気がせず、そもそも弱っているメンタルがさらに痛めつけられていく。
そんなタイミングでこの手段の出番だ。
『周りを適応させる』。
説明しよう。
誰もが環境変化の中では、ひっ迫する状況、狭まった視野、焦り出す心境を背負って自分一人で解決しようとする。
それが間違いなのである。
そもそも、何度も言うが環境変化とは自分以外がガラッと変化する。
自分以外に信じられるものが少なく、孤立無援に近く感じるからメンタルに支障をきたすのだ。
そこで、自分以外である周りに適応してもらう。
例えば、新転地に配属が決まり、右も左も分からない場所で働くことになったとしよう。
その場合、周囲の人々に積極的に話しかけ、助けてほしいとお願いするのだ。
具体的には、「実はまだこの勤務地に来たばかりで分からないことが非常に多く、毎日辛く感じてしまっている。仕事は頑張りたいと思っているので、迷惑をかけるかもしれないがぜひ相談に乗ってくれないか?」などと明言するのだ。
そして忘れてはならないのがさらに一言、必ずこう言うことだ。
「早く慣れたいと思っているので、必要なものややったほうがいいことがあれば教えてほしい」。
このメッセージにはいくつかの効果がある。
まず、周りに対して自身が困っていること、危機に陥っていることをアピールすることで、周りから自身に対する期待値が下がる。
次に、前向きに適応したい意思を示すことで、そこで過ごすために必要なことを積極的に教えようという意識が周囲の人に生まれる。
結果的に、周りにいい意味で期待されず、そして周りが自身の適応を支援してくれる環境が生まれる。
自身が適応しようとする行動に加え、周りまでも巻き込む。
今後誰もがVUCAに苦しむ世界になるだろう。日々の変化のスピードに圧倒されることもあるかもしれない。メンタルにダメージを負い、耐えられない時もあるかもしれない。
でも、その際に思い出してほしい。
自分自身が常に強くある必要はないのだ。適応さえできれば淘汰(とうた)されない。
どうか頑張ってくれ。成果はダーウィンと私が保証しよう。
この連載がアルファポリス社の協力を経て始まった時、私には強い使命感があった。
当時SNSのDMから、私はたくさんの称賛や賛同と並行しつつ、その一方でたくさんの人々から「人間のメンタルはそう簡単に鍛えられない」「誰しもがあなたにはなれない」といった言葉を浴びていた。
しかし、悲しくはなかった。私がSNSで発信しているメンタルの鍛え方や持ち方は、そもそも強い素地を持たないと再現できないメンタルハックがほとんどだと自覚もしていたからだ。
しかし、いざそんなことを言われると、こう思ってしまうものだ。
「お。じゃあ、今すぐみんなのメンタルを救っちゃおうかな」と。
そんなイタズラみたいな使命感で始まったこの連載たちは、皆さんのメンタルを救えただろうか? もし少しでも救えていたのならば、とても嬉しい。おばけ感激。おばけ汁出る。おば汁ブッシャアアアアアアアおば汁ブッシャアアアアアアアアア!!!!!!!!!!(略)。
気を取り直して、最後に。
メンタルは相手がどうこうではない。自分がどう解釈し、どう行動するかが全てだ。あなたのメンタルも人生も、あなたが決めるべき!