自分会議とは、頭の中に複数の自分を召喚して、その名の通り会議を行うことである。
やり方は簡単だ。様々なことを頭の中にイメージするだけでできる。
あなたの頭の中に、以下の人を用意してほしい。
・司会進行担当
・メンタルの叫び担当
・整理と過去の事例探し担当
・解決策担当
この4人が必須だ。
それでは、自分会議を始めよう。
司会「はい、それでは第一回自分会議を始めます。はじめに、メンタルの叫び担当、メンタルが今どんな状況なのか教えてくれますか?」
メンタルの叫び「ハイ。実は今日、会社で上司に怒られてしまって……。普段仲の良い上司なのですが、あまりに私には関係ないことで怒られてしまい、その場で怒り返してしまったんです。仕事が忙しかったのもあって、色々限界が来てしまって……。まだ心の中がモヤッとしています」
司会「なるほど。それはいけませんね。それでは、整理担当。何か意見はありますか?」
整理と過去の事例担当「はい。まず、怒られた内容があまり自分に関係がなかったこと、そして仕事が忙しかったことは事実です。なので、怒り返すのも無理はないとは思いますが、職場で上司に怒り返すのは良くないことであることも事実です。そこは反省すべき点があると思います」
司会「そうですね。上司に向かって社会人として非礼があったこと、そこは反省すべきでしょう。解決策担当、何か反省の策はありますか?」
解決策担当「はい。ここは、自分が忙しかったことを上司に説明しつつも、自分にはあまり関係ない内容だったことを事実として伝えた上で、非礼を詫びるべきでしょう。明日、上司にペコッとしましょう」
司会「なるほど。どうですか、メンタルの叫び担当?」
メンタルの叫び担当「はい、分かりました」
司会「よろしい。ですが、まだメンタルの叫び担当のモヤッとしたメンタルが解決していませんね。これはどう解釈しますか? 整理担当?」
整理と過去の事例担当「はい、これは以前も似たようなことがありました! どうやら、仲の良い人に怒られたりするとパニックを起こして、悲しいのに怒ってしまうようです」
司会「!? それは本当ですか?」
整理と過去の事例担当「はい、今色々思い返してみたのですが、過去、似たようなケースで何度も怒っています。でもそれは後から考えると、ただパニックを起こしていただけであり、本物の怒りではないです。むしろパニックで勢いがついてしまっただけのような感じだと思います」
司会「なんと! メンタルの叫び担当、どう思いますか?」
メンタルの叫び担当「ちょっと心当たりあります……」
司会「ううん、参りましたね」
整理と過去の事例担当「モヤッとしているのは、まだちょっとパニックが続いているのかもしれません」
司会「仮にそうだとした場合、どうしますか? 解決策担当?」
解決策担当「はい。まずはパニックを落ち着かせましょう。次に、それを待って自分がパニックを起こしてしまったことも伝えながら、上司にしっかり非礼を詫び、事実をあわせて説明するほうが良いと思います」
司会「なるほど。それは良い考えですね。最終的にどう上司に話しますか?」
解決策担当「まず、開口一番、怒り返してしまった非礼をしっかり詫びましょう。そして次に、当時の自分の状況と怒られた内容があまり自分に関係なかった点について事実をお伝えしましょう。最後に、あまり自分に関係ないのに怒られたことで情報が上手く処理できず、パニックになってしまったことを伝える。そんな順序でどうでしょうか?」
司会「どうですか、メンタルの叫び担当。できますか?」
メンタルの叫び担当「やってみます……」
司会「難しく、厳しいこととは思いますが頑張りましょう。それでは、今回の会議を終わります」
……と、いった具合である。めでたしめでたし。
大事なのは、冒頭で述べたように、会議内に「自分の感情や思いを言語化する」、「他人の視点から意見を得る」、この2点を盛り込むことだ。
そして、会議の中で出すべき結論は「不調の理由」「回復のしかた」の2つ。
自分を細分化して複数人にすることで、意図的に他人(メンタルの叫び担当以外)を召喚する。
それは紛れもなく自分ではあるが、それまでの自分とは別視点に立った非常に重要な存在であり、あなたに他方向からの意見や事例を与えてくれる、大事なポジションになることだろう。
このように、常に自分のメンタルを複数人で管理するテクニックが身につけば、必ずあなたのメンタルの不調や不安定を解消することに役立ってくれるはずだ。ぜひ、試してみてほしい。
ちなみに最近の私は1日1回程度は開催しており、そろそろ1万回開催記念パーティーでもやろうかと思っている。
そのときは、シャンパン担当でも呼びつけてやろうと思う。