仕事から帰って勉強する場合は、眠気が大敵です。
コーヒーやエナジードリンクで眠気を覚ます人が多いかもしれませんが、あまり賛成しません。なぜなら、起きているということに意味があるのではなく、集中して勉強することに意味があるからです。
カフェインなどの力を借りて一時的に目がさえたとしても、疲れがなくなることはありません。
せっかく確保した時間が睡魔との戦いに費やされ、何も覚えられなかったら時間のムダです。
そこで推奨するのは、思いきって短時間寝てしまうことです。
私は昼夜問わず、どうしても眠いときは、10~15分ほど横になって寝るようにしていました。
寝過ごさないようにタイマーを複数セットし、時間になったら勢いよく飛び起きます。
どうしても眠く、「あと5分……」という気持ちになりますが、ここでアラームを止めると、次に目覚めるのは朝になります。
そのまま寝ないようにして飛び起き、テキストを開きましょう。
少し眠ると、体力が回復し、頭もクリアになります。わずかな時間でも大きな効果を発揮するので、疲れが取れない人は取り入れてみましょう。
試験勉強を終えた現在でも、私は疲れたらすぐ横になるようにしています。
仕事を終えて帰宅し、夕食を終えたらほぼ毎日15分~30分ほど眠るルーティンを確立しており、パフォーマンスが上がることを実感しています。
20時ごろに少し眠ることで日中の疲れがかなり取れるので、21時から24時までは、子どもと遊びながら原稿を書いたりメールを返したり、雑務をこなして仕事の効率化を進めています。
部屋の環境と体調を整えるほかに、心のスイッチを入れる対策も行いましょう。
人間の意志は弱く、誰でも努力をすぐにサボってしまいます。勉強するルーティンを確立できても、誘惑があれば理由をつけて休みに気持ちが傾きます。
そこで、自分の心を奮い立たせる仕掛けを設置することをおすすめします。
努力を継続するためには、努力によって得られる具体的なメリット、つまり、「ニンジンをぶら下げる」ことが重要だとこれまでの連載の中で書いてきました。
強いモチベーションを上げる理由になるのは、悔しい思いをしたくない、恥ずかしい思いをしたくない、などの「ネガティブな事態を避けたい」という気持ちです。
私の場合は、一度目の司法書士試験に落ちたとき、大きい挫折感を味わいました。
午前中の択一問題の出来が悪く、足切りを確信した際に、努力した日々が走馬灯のように頭を巡りました。同時に、「もっと頑張ればよかった」という後悔に襲われました。
たいていの資格試験は合否にかかわらず、結果が郵送などで送られてきます。司法書士試験も、受験からしばらくたって、落ちた際の成績表が届きました。
私は二度目の受験まで、ふがいない試験結果をトイレの壁に貼りました。
そうすると、どんなにやる気がなくても、トイレに行くたびに落ちたという事実を再確認することになります。
その結果、「もう悔しい思いはしたくない!」と気合が入り、朝からスイッチを入れることができました。
1年後に合格できたときも、トイレの試験結果は外さなかったように記憶しています。
公認会計士試験を受験することに決めたため、「やる気スイッチ」としての役割が終わらなかったからです。
それから受験を終えるまでは、予定どおりにノルマをこなせない日はほとんどありませんでした。
挫折した経験と、それを忘れないための仕掛けが、よい方向に働いたのだと思います。
本来リラックスできる自宅で自分を追いこむのはなかなか大変です。
自分に甘ければもちろん結果は出ませんが、自分に厳しすぎると、続けることが困難になります。
やるときはやる、やらないときはやらない、とメリハリをつけることが、自宅学習を効率化する唯一の道だと思います。