続いて、実際に定時後すぐに集中して勉強する方法を考えましょう。
その日に終わらせる仕事が残っていれば、残業をする可能性が高くなります。また、定時に仕事を終えられるとしても、心身が疲れてしまうと、回復するまで勉強のスイッチを入れることができません。
望ましいのは、やるべきことを終え、疲れていない状態で仕事を終えることです。そのためには、仕事の進め方についてもメリハリをつくることが必要です。
まず、その日のうちにやるべき仕事は午前中に終わらせましょう。
私は独立前、新聞記者、化学メーカーの経営企画部門、海運会社の経理部門、会計事務所、監査法人などで働いていました。
業務内容は様々でしたが、どの職種でも、
① その日のうちに終わらせなければならない仕事
② 一定の期日までに終わらせなければならない仕事
③ 期日はないものの、継続して成果を求められる仕事
の3種類がありました。
このうち、①を終えていなければ残業になるのは当然です。また、②についても指定の期日までに終えなければ残業になります。
このほかにも、突発的な事由で残業が発生することがありますが、頻度は多くないでしょう。
定時で帰るためには、①と②の作業を優先的に進めることが必要です。
また、定時後にすぐ集中して勉強するためには、午前中は仕事に集中することが必要です。
勉強に力を割けるよう、午前に負荷をかけて業務を処理し、午後は回復しながら翌日以降の準備をするというサイクルをつくれれば、学習効率が高まるでしょう。
具体的に説明すると、①の代表例は、新聞記者であればその日に発生した事故などの記事執筆、経理部門であればその日に入出金する伝票処理などです。始業時間になったら、これらに類似する業務を最初に処理しましょう。
①が終わったら、②を優先的に行います。
可能な限り、仕事のピークを午前中につくりましょう。昼休み前に、終業前より強い疲労を感じるくらいが目標です。
昼食を食べてリフレッシュしたら、昼休みも勉強しましょう。
外食をしなければ、30分ほど机に向かうことができます。短いですが、社会人受験生にとっては、貴重な時間です。
午後は突発的な業務の発生に備えつつ、③を中心に時間を使います。
個人的な経験を踏まえると、午前中にノルマを終えていれば、精神的にも余裕が生まれ、業務の質も高まるように思います。
残っている作業のうち、面倒だと感じているものから手をつけましょう。
ついつい先送りしたくなるものの、放置すると急な対応を迫られる可能性が日増しに高まっていくため、少しずつでも先に処理したほうが良いでしょう。
③の具体例は、職種によって異なりますが、新聞記者であれば連載の企画書などが該当します。上司に突然、「そういえば、あれはどうなってるの」と聞かれがちな業務を想像してみてください。
午前に比べて、午後は仕事のペースを落としましょう。
体力と精神力を回復させ、退社後すぐに勉強のスイッチを入れるためです。
翌日以降にやるべき仕事の準備をしつつ、あえて意識的に集中を切る時間をつくって、疲労を定時まで残さないことが大切です。
とくに、定時1時間前からは、少しずつその日に行う勉強の内容を考えるようにして、徐々に気持ちを切り替えるとよいでしょう。
そして、いよいよ定時になったら、強い意志を持って席を立ちます。
近くの人が誰も帰らなければ少し目立ってしまいますが、堂々と帰りましょう。
このとき、ノルマを終えていなければ、上司や同僚から怪訝な目を向けられてしまいます。
信用も落ちて人間関係が悪くなり、仕事がしづらくなる危険性もあります。そうするとストレスがたまりやすくなり、勉強にも悪影響が出るようになります。
やるべきことは必ず終わらせておき、文句を言われないようにしましょう。
誰よりも早く退社するのは、最初は少々勇気がいります。
ですが、「仕事が早く、定時にすぐ帰るキャラ」を確立してしまえば、そのうち誰も気にしなくなるはずです。
残業代を発生させないことは人件費抑制にもなり、まったく悪いことではありません。
残業に対する風向きも変わっており、労働時間ではなく成果で評価する流れはより強くなっています。
資格試験は、可処分時間を意識的に長くすることで合格率を高められます。自分自身の働き方を改革し、効率よく勉強できる環境を整えましょう。