スペシャルインタビュー
執筆のコツは、キャラクターを記号としてみないこと
自分が持って行きたいストーリー展開の為に、キャラを振り回さないように心掛けています。特に、無理やり失敗させたり、不自然に不幸な偶然が重なる、という流れは絶対にやらないようにしてます。きちんと「そうなる理由」を組んで、きっちりそれを守る。たとえ予定していた方向からズレても、何とかする。自分の力量不足の負担をキャラに押し付けない。そういう意味で、キャラクターを記号として見ないように気をつけていますね。
キャラの設定はふっと浮かんで来る場合が殆どなので、明確な組み上げ方は決まってません。考えて作る場合の例を挙げるなら、映画や漫画の決めカットのように印象的な場面を思い浮かべて、そこからプロフィールを肉付けしていくというパターンがあります。
また、舞台とキャラの名前や年齢などの設定を軽く決めて、後は適当に動いて貰い、そこからイメージを広げていく、なんてやり方もあります。ただし、これだと登場初期とその後で随分雰囲気が変わってしまう場合があって、そうならないためには、話し方や基本的な人格をしっかり固めておかないといけません。
動かし易いという点では立場的にも存在的にも『スピリット・マイグレーション』の主人公コウが一歩リードしますが、同じくらい『異界の魔術士』の朔耶や『ワールド・カスタマイズ・クリエーター』の悠介もここぞというシーンを書けるので、割とみんな均等に好いてます。
といっても、ある意味、キャラクターは主役クラスからモブまで全て、自分自身の欠片です。登場して即、主人公にぶちのめされる、げへげへ言ってる山賊でもそれは例外ではありません。ですから、特に突出して好きだったり嫌いだったりするキャラはいませんね。
小学生くらいの頃、松本零士先生の漫画『銀河鉄道999』と『宇宙海賊キャプテンハーロック』の世界が繋がっていた事にもの凄い衝撃を受けた記憶があります。
その後、漫画家を目指していた20代で『999』全巻を大人買いして読み直し、その2作だけでなく、先生の作品がいくつも繋がっているのに大変感動して、いつかこんな風に「自分の世界」を作りたいと思いました。
そういう想いが根底にあったからなのか、自分の3作にも共通する設定を根本に敷いています。それで大きな矛盾が発生しないという下地が出来たところで、『スピリット・マイグレーション』連載中に物語をリンクさせるチャンスが訪れたので実行した、というわけです。
もっと言うと、私は終わった作品でも、その世界はそこに在り続けると感じるタイプでして、キャラクター達が歳でもとって死んでしまうまでは物語も続いている、と考えています。
先に完結した『異界の魔術士』『ワールド・カスタマイズ・クリエーター』も、語るべき大きな事件は無くとも、キャラクター達はその世界で相変わらず楽しくやっている、という事を自分の手で表現したかった。そんな思いから、今回のコラボレーションを実現させました。
基本スタンスは投稿を始めた時から変わりありません。これからもずっと、安心安全をモットーにした物語を作っていきたいと思います。
この人なら安心、と思われる創作家になりたいですね。
読んでくれる方がいてこその物語。創作の楽しみの半分は読者さん達の反応です。つまみ食い感覚の軽い読み方でも、隅々までがっつり把握する読み方でも、何かしら反応を示していただけると、作者側としては救われます。一緒に楽しんでいただければ何よりですよ。