スペシャルインタビュー
実は最初は漫画家を目指していました
元々創作活動が好きで、実は最初は漫画家を目指していました。が、挫折。それでも何かしらを作りたくて、絵を描いたりツクール系ゲームなどをやったりしていたんです。当時は自分の方向性が明確に定まっていなくて、とにかくいろんな創作物や思想に触れるようにしていました。
それであるとき、とあるノベルゲームの世界観とキャラを使った、自分オリジナルのサイドストーリーを作れるシステムに触れる機会があったんですね。そこから、自分と同じ素人が書いた漫画やアニメの二次創作作品に触れるようになり、あまり関心を持っていなかったWeb小説も読むようになっていって……こういう物語が読みたい、と思った作品を読み漁りました。
そのうちにもっと自分好みの展開やストーリーがないかと探し回ったのですが、都合よく自分の好みの要素ばかりの作品がそうそう見つかる筈もなく……じゃあ自分で書いちゃえ、となったわけです。
そうしてプロットを練ったり、短い小説を書いてみたりなど色々な下地の活動を積み重ねました。やがて本格的に「ちゃんとした長編」を書いてみたいと思い至り、その公開先を探し始めたんです。当時、幾つか有名な小説投稿サイトがありまして、どこにしようか悩みましたが、一番機能が充実していて使い易かった「小説家になろう」さんを選びました。
「小説家になろう」の魅力は読者とも書き手とも距離が近いこと
やはり、作品の感想や意見が読者さんから直接いただけるのは大きかったですし、モチベーションになりました。読者さんに、ここでクスッとして貰おうとか、この伏線には気付くかな〜とか、明確に笑わせに掛かってるところとか、こちらの狙い通りのところでウケて「面白かった」と言っていただけると、嬉しくなります。
他の作者さんとの交流も僅かながらありました。物語の書き方のアドバイスを求められたり、愚痴を聞いたり励まし合ったり。同じような境遇ながら、それぞれ違った不安や悩みを抱えてるものなんだなーと、当たり前のことを改めて実感しました。
「小説家になろう」累計トップ、そして見えてきた作家道
「異界の魔術士」を連載していたとき、読者さんから「1位おめでとうございます」とコメントをいただいて、初めてトップになっていた事を知りました。
順位が上がっていってる事は時々ランキング欄を見て知ってましたが、とにかく書く事に夢中だったので、何だか狐につままれたような気分でしたね。
でも、自分の目指した「面白いもの」という価値観や感性が認められたような気がして、嬉しかったです。
ただ、当時は読者さんからの評価項目の中に「本になったら買いますか
YES/NO」という質問が自動でついていまして……急激に人が増え始めた時期だった為か、なろうさんに来たばかりの人は、評価システムが「小説家になろう」サイト自体に付随する基本設定で、作者側がその項目を弄れないという事を知らなかったんです。だから、「違うんですー、(自分が聞きたくて聞いてるわけじゃなくて)基本設定なんですー」と内心叫びながら返信で説明してました(笑)。これにはかなり悩まされました。あの頃は本当に書籍化なんて考え自体ありませんでしたから、この評価項目について意見をいただいても、ひたすら愛想笑いで流すしかなかったものです。
実はアルファポリスさんに登録するのが遅かったのは、この時の経験が理由だったりもします。先陣を切って刊行組になった若い作家さん達がいなければ、今の私は無かったとも言えますね。ある意味、若い人の力に引っ張られる形で私はここに立っている。と、ちょっと格好をつけてみます(笑)
自分で書き始めてからは、他の作品を読む機会が減りましたが、異世界もの、ループものの作品はよく読んでいたと思います。自ら書き始める切っ掛けになったのも、それらの作品の中で「ここは自重せずもっとドカーンとやって欲しい」と、もどかしく思う場面がよくあったのが大きかったですね。
読んでいた作品から得られなかった欲求を満たす為に自ら書いていた。言い換えるならそんな「おあずけ」を食らった事が執筆の原動力になった感じです。いわばフラストレーション解消が根本にあります。
私の作品における「ストレスフリー方針」も恐らくそこから来ていて、重い内容の異世界もの作品から刺激を受けたとも言えますね。