隈研吾・建築物「劣化」問題、他の建物も大改修が必要か…木の使い方に疑問も

 隈氏のデザインとしては、東京・世田谷の「M2ビル」、高知の「雲の上のホテル」など民間の建築物のほか、宮城・石巻の博物館「北上川・運河交流館 水の洞窟」、宮城県登米町の「伝統芸能伝承館森舞台」、栃木・那須「石の美術館」、作新学院大学の校舎群といった公共性の高い建物も多い。さらに、兵庫・伊丹市役所庁舎、千葉市役所庁舎、滋賀・守山市役所庁舎、兵庫県庁舎など、自治体庁舎も多く手掛けている。

 伝統芸能伝承館森舞台で日本建築学会賞を受賞したほか、作新学院大学校舎群では栃木県マロニエ建築賞(街並み景観部門)、としまエコミューゼタウンビルでグッドデザイン賞とBCS賞、京王電鉄高尾山口駅駅舎でグッドデザイン賞、JR高輪ゲートウェイ駅でグッドデザイン賞など、数多くの受賞歴がある。

 2019年には紫綬褒章も受賞し、今や建築界においては右に出る者はいないほどの大物と目されているが、「M2ビル」は業界誌で「世界の10の醜悪なビルの一つ」と酷評されるなど、若き頃には本人ですら振り返りたくないようなデザインもある。それらが、今、ネットやメディアでクローズアップされているのだ。

(文=Business Journal編集部、協力=森山高至/建築エコノミスト)