ミスタードーナツ、脱ドーナツ加速?台湾ゴハン祭りに「何屋さんか分からない」

コンビニの存在

 ミスタードーナツが飲茶メニュー「ミスター飲茶」を発売したのは、今から32年前の1992年のこと。一時期は「肉まん」「シューマイ」「エビ蒸し餃子」などの点心、「おかゆセット」などの軽食なども販売していた。2017年には「ミスドゴハン」とするコンセプトを展開し、本格的にメニューの多角化に踏み込んだ。ミスタードーナツを運営するダスキンによれば、飲茶の売上は2023年実績で約600万食にも上る。

「ミスドがゴハン系メニューに力を入れるようになった背景には、2014年にセブン-イレブンがレジ横でのドーナツ販売を本格的に開始したことを契機にコンビニ各社がドーナツに力を入れ始めたことがあると考えられます。結果的にセブンは17年にレジ横でのドーナツ販売をやめましたが、その間にミスドの業績は悪化し、ミスドは16~20年に店舗数を200近く減らし経営効率化を図ったり、コラボ企画をはじめユニークな期間限定商品を頻繁に投入するなど、さまざまな取り組みを行い、そうした改革の一つとしてゴハン系メニューの拡充も行われました。結果的にこうした施策が功を奏し、ここ数年の好調につながっています」(外食チェーン関係者)

価格的な優位性が必要とされない

 ミスドのゴハン系メニューの価格は安くはない。たとえば「台湾風ルーロー麺」は693円、「チーズドッグ」は440円、「たまごチャーハン」は605円、「ザクもっちドッグ カレー」は308円、「6種のチーズピッツァ(Mサイズ)」は1400円。「マクドナルド」の「チーズバーガー」が200円、「熱烈中華食堂 日高屋」の「チャーハン」が510円、同じく日高屋の「中華そば」が390円であることを考えれば、他業態チェーンと比較して価格的に優位性があるとはいいがたい。

「ミスドのドーナツの高いクオリティーに対して、ドーナツ以外のメニューのクオリティーやコスパが良いかといわれれば、ちょっと微妙かもしれません。ただ、グループのなかにドーナツを食べたい人と飲茶も食べたい人が混在しても一緒に利用できたり、一人で中華料理店には行きたくない女性客でも利用できるというメリットも存在するため、必ずしもファストフードチェーンや中華料理チェーンなどに対して価格的な優位性が必要とされないという面はあるでしょう」(外食チェーン関係者)

(文=Business Journal編集部)