円キャリー取引、徐々に再開が注目…日本株投資、今が絶好のチャンスだった

 もっとも、円キャリー取引は特別な取引ではないという。

「円キャリー取引というのは一つのネーミングにすぎず、要はドル円ロングポジションで取引をすること全般を指し、特別に何か込み入った取引というわけではありません。市場全体の混乱が調整されて今後リバウンドが生じる可能性もあり、現在は投資面では大きなチャンスといえます。たとえば日本株にしても、日経平均株価の3万円台半ばから下という水準は明らかに低く、安いときに買って、4万円手前ぐらいで利食いを狙う、また状況次第では4万2000円の過去最高値前後で利食いすることもできるかもしれません」(志摩氏)

 もし仮に今後、円キャリー取引が増えれば、株価や為替にどのような影響が生じるのか。

「日銀の内田真一副総裁が今月7日に『金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない』と明確に発言しているので、年内の再利上げは、ほぼなくなったと言えます。日本の金融政策面だけをみると、円キャリー取引を行うリスクは低い。円キャリー取引をやるということは円安の進行に期待するということであり、円安と日経平均株価には相関関係がありますから、株価上昇も期待できるということになります」(志摩氏)

 メガバンク系ファンドマネージャーはいう。

「円キャリー取引が活発であれば対ドルで円は売り越しとなるはずだが、直近では円は買い越しとなっていることからも、復活と呼べるほど円キャリー取引が増えているとは考えにくい。一部の投資家が再開しているにすぎないが、日銀の再利上げ観測が弱まり、さらには米国の景気後退観測の後退に伴うFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測後退もあり、当面は日米金利差が大きく縮まらないと判断されれば、円キャリー取引がじわりと増え、円安を下支えする可能性はある」

(文=Business Journal編集部、協力=志摩力男/トレーダー)