大学の数学科が「就職無理学科」→企業から人気&就職に困らない学科に変貌

「実学に近いため工学部の学生は以前から企業から採用ニーズが高く、就職では困らないといわれてきたのに対し、純粋な学問寄りの理学部は就職が決まりにくいとされてきました。理学部の化学科や物理学科、数学科でニッチかつ専門的な勉強をしてきた学生が、大学で学んだ知識を活かせる職種や興味のある分野で働ける職種を探すと、なかなか見つかりにくい状況がありました。また、企業側から『理屈っぽい』『コミュニケーション能力が低い』という先入観を持たれて敬遠されがちだった面もあるかもしれません。

 しかしデータサイエンティストをはじめとする高度なITスキルを持つ人材への需要の高まりを受け、7~8年くらい前から統計・データ分析など数理的な知識を持つ人材を採用しようという意欲を持つ企業が増えており、数学科の卒業者の就職状況は良くなっていると感じます。金融業界でもクオンツやアクチュアリーへの需要が高く、数学科出身者へのニーズは一定程度あります」

「数学は実社会で使われないというのは妄想」

 企業側のマインドの変化も数学科出身者の就職には追い風になっているという。

「かつて日本企業は採用において、コミュニケーション能力を非常に重視してきましたが、ITや金融に限らずさまざまな分野で高度な専門的知識・スキルが求められる職種が増えており、必ずしも高いコミュニケーション能力が必要な職種ばかりではないという認識が広まりつつあるのは、数学科の学生にとっては就職面で有利に働くかもしれません」

 ゲーム開発会社関係者はいう。

「現在のゲーム開発では、線形代数・微分積分・行列・確率など大学で学ぶレベルの数学の知識を当たり前に使っているので、数学は実社会で使われないというのは妄想に近い。ウチの業界以外でもITに限らず数学を使う職種は今後ますます増えていくのは間違いなく、得意な学生は躊躇することなく数学科に進んでほしいと思う」

(文=Business Journal編集部、協力=川畑翔太郎/株式会社UZUZ COLLEGE代表取締役)