近年は硬いグミを好む人も増え、ネット情報で「ハードグミ人気おすすめランキング」が紹介されるほどだ。メーカーもそうした消費者の変化を意識する。やわらかさが持ち味だった果汁グミからも2022年に「果汁グミ 弾力プラス」というシリーズが登場した。
市場拡大を続けるグミだが、課題も残る。カンロの河野さんはこう指摘する。
「実は、日本のグミ喫食率はまだ50%にも達していないのです。また、ピュレグミは発売22年になりますが、過去に喫食経験がありながら最近食べていない休眠層の方も多くおられます。未経験の方や休眠層の方に手に取っていただく機会を訴求していきます」
明治の福島さんも「日本のグミ喫食率は約45%なので消費者と商品の出合いを増やしたい」と同じ指摘をした。自社ブランドについては「“果汁100”や“着色料不使用”といったブランドの本質は維持しつつ、消費者訴求には少し遊び心も取り入れたい」と話す。
前述したように欧州では誕生100年超のグミだが、日本では同40年程度。喫食率90%を超えるチョコレートなどに比べて未経験者も多いのだ。
休眠層に対しては、たとえば「家庭用アイスクリーム」の事例が参考になりそうだ。近年好調なアイス市場は大人に人気で、高齢層の支持も高い。
喫食再開のきっかけは、特に男性の場合、「定年退職により外で飲酒や会食機会が減って自宅時間も増えた。そこで久しぶりにアイスを食べたら美味しかった。それ以来、手軽な息抜きとしてアイスを食べる定年世代が増加した」――という話を取材で聞いてきた。
グミもアイスと同様100円や200円で買えるので、訴求次第で可能性が広がるだろう。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)