なので生保各社は、待遇を引き上げる一方で人材を厳選して採用するようにし、優秀な人材には長く働いてもらえるよう努力するようになった。かつてのような“ムチで叩く”やり方ではすぐに人が辞めてしまうため、研修を充実させるなどして職員一人ひとりのスキルとモチベーションを向上させてパフォーマンスを発揮させるという方向に大きくシフトした。要は、長い年月を経て生保業界もやっと、まともになったということ」(前出・大手生保社員)
また、金融業界関係者はいう。
「かつては昼休み時間に生保レディが職場に出入りして社員に声をかけ、グッズやパンフレットを配って営業活動する光景がみられたが、現在ではオフィスビルのセキュリティーが厳しくなったこともあり、ほとんどなくなった。会社の受付に備え付けられた内線電話前に陣取って、片っ端から社員に内線で営業電話をかけたり、若い男性社員をターゲットに合コンを設定して囲い込みを図る猛者もいたが、最近ではそれすらも難しくなっており、生保レディたちはいろいろな工夫をして見込み顧客への接触を図ろうとしている。
生保各社は営業職員の評価基準に既存顧客の契約継続率や顧客訪問の頻度といった項目も加えて評価軸の多様化に努めているが、依然として新規獲得件数が最重要視される傾向は変わらない。業界特有の、入社3年目くらいから固定給が減る仕組みも残っている。加えて、最近では顧客者側も保険の購入を検討する際には自分で情報を入念に調べたりフィナンシャルプランナーに相談したりして知識が豊富になっており、営業職員はこれまでのようなGNP(義理・人情・プレゼント)が通用せず、自社・他社の商品に関する知識量とロジカルな説明スキルが求められるようになった。こうした変化も踏まえ生保各社は、営業職員の採用で厳密な選考を行い人材をより厳選する一方、優秀な職員には長く残ってもらうように取り組み始めた。要は人材の取捨選択の度合いを強めている」(23年10月23日付当サイト記事より)
(文=Business Journal編集部)