「確かに、強要すべきではありません。一般的に不動産登記に関しては、登記によって利益を受ける“登記権利者”の側が司法書士を指定するのが暗黙のルールになっています。例えば、不動産を購入する場合は取得者側、抵当権を設定する場合は銀行などの融資側です。抵当権を抹消することで利益を受けるのは不動産の所有者で、銀行側は“登記義務者”です。登記に協力する義務はありますが、司法書士を強要するのはおかしいですね。住宅ローンを完済した顧客から、『司法書士を紹介してほしい』と頼まれた場合に限って、紹介すべきだと思います」(前出司法書士)
不動産に関する登記を経験したことがある方は多くはないかもしれないが、実は抵当権の抹消は難しくない。銀行から交付される書類一式とハンコを持って、該当不動産の管轄の法務局に持ち込むだけで登記の申請はできる。事前に法務局のホームページからダウンロードして申請書を作成することが望ましいが、わからない場合は法務局の窓口で教えてもらいながら作成できるからだ。ちなみに、登記申請の費用は不動産1筆につき1000円で済む。
抵当権抹消登記を司法書士に依頼した場合の報酬はおおよそ1万円から2万円くらい(事務所によってバラつきが大きい)だが、自分で申請すればその費用を抑えられる。住宅ローンを完済した際には、ぜひ参考にしてほしい。
(文=Business Journal編集部)