ステイタス性ではなくお得さが重視されるようになったクレジットカードだが、それでもランクごとのカードが提供されており、対象としている客層も異なるように見える。それでは年収ごとにどのカードを選ぶのが正しいのだろうか。
「年間利用額が100~200万円の中間層は 『Oliveフレキシブルペイゴールド』や 『エポスゴールドカード』などのゴールドカードがおすすめです。こうしたカードは年間利用額が100万円を超えると1万円分のポイントが付与されます。そのため基本的な還元率が0.5%でも、100万円を超えた時点で実質還元率が1.5%になります」(同)
外食費や食材費だけでなく、水道光熱費や通信費もクレジットカード払いにすれば年間100万円は簡単に超えそうだ。一方、高所得者の場合は複数のカードを保有するのが良いという。
「年収1000万円以上、年間消費額100~200万円を超える方は複数のカードを併用すると良いです。前述したゴールドカードは100万円分使うと実質還元率が1.5%になりますが、それ以上使い続けると還元率は0.5%に収束してしまいます。100万円ごとにこれらのカードを併用することで、実質還元率1.5%をキープすることができます」(同)
つまり100万円ごとの1万ポイント付与は一回きりなので、何回か付与されるために複数用意しようという考えである。
そして年収1000万円台よりさらに上、数千万円単位の場合はジャンルを定めた選び方が良いと足澤氏はいう。
「年収が数千万円単位になる人は海外や旅行に行く機会が多いかと思います。飛行機に頻繁に乗る人はマイル系のカードがお得になるでしょう。高級ホテルによく泊まる人は『マリオット ボンヴォイ・アメリカン・エキスプレス』などが良いかもしれません」(同)
マリオット ボンヴォイ・アメリカン・エキスプレスは「マリオット」や「リッツ・カールトン」などのホテルで100円の支払いごとに4ポイント貯まるカードだ。とはいえこのあたりの年収帯になると、積極的にポイントを貯めるというよりも、普段使いで貯まったポイントをご褒美としてホテルに使おうという発想になるのかもしれない。
今回の取材でクレジットカードが従来の支払い機能やステイタス性の誇示ではなく、ポイ活という側面で利用されていることがわかった。ゴールドカードが発行されやすくなった背景には、発行会社側がポイ活ユーザーを囲い込もうとする意図があるのかもしれない。そして消費者の年収帯ごとにお得なカードが変わるということもわかった。銀行系、流通系と各社が競うようにカードを発行している現在、次にどれほどお得なカードが発行されるか注目しておきたい。
(文=山口伸/ライター、協力=足澤憲/オモチ取締役)