現状では早大が買収・統合するとしたら東京女子医大以外の医科大だろうが、石渡氏は、候補になり得る大学を次のようにピックアップする。18年の不正入試で当時の理事長・学長などが逮捕された東京医科大、私立医学部の御三家(慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学)に区分される日医大、慈恵医大、さらに新御三家(慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、順天堂大学)の一角とされる順天堂大である。
「これまでの総合大学と単科大学の統合を見ていくと、慶応義塾大と共立薬科大、上智大と聖母大など単独での生き残りも不可能ではなく、いうなれば勝ち組の単科大が統合しています。総合大からすればダメな大学とは統合したくない、単科大からすれば安泰なときこそ統合を急いだほうがいい、と考えるからです。しかも早大と統合すれば、国からの競争資金獲得も期待できます」(石渡氏)
一方、かりに東京女子医大が他大学と統合するのなら、京都先端科学大学が有力な候補になり得るという。先端大は、経済経営学部、人文学部、バイオ環境学部、健康医療学部、工学部を運営する総合大学。19年に日本電産(現ニデック)創業者で代表取締役会長の永守重信氏が京都学園大学を買収して工学部を新設し、現校名に変更した。石渡氏は「永守氏は医学部新設にも強い意欲を持っています。資金も豊富なので、買収に踏み出す可能性は十分にあります」と見ている。
(文=Business Journal編集部、協力=石渡嶺司/大学ジャーナリスト)