パズドラ「オワコン説」の嘘…パラメータのインフレ→ゲームバランス崩壊の問題

ユーザー離れの原因はインフレ

 パズドラの運営は順調に続いているようにも見えるが、「妨害だらけで楽しくパズルさせてくれない」「さすがにあれを何年もやったら飽きる」といった不満から退場するユーザーも。SNSでは「オワコン」という声もあるが、ユーザーが離れていく理由は何か。

「主な原因は、パラメータのインフレによるゲームバランスの崩壊です。ゲーム製作をする時には、キャラクターの能力値には想定の上限が設定されています。ただ、終わりがないスマホのRPGゲームの場合、トッププレイヤーを基準にして作られた新ステージは、クリアされるたびに難易度が上がっていき、想定した数値の上限を超えてしまう。現在のパズドラは、サービス開始当初に比べると、ダメージの桁が何倍にも膨れ上がっています。

 その結果、新しい敵の強さが3倍になるようなことが起き、ステージをクリアするには、新しいカードを引いて最強に育成してから挑むことが必須になる。また、パーティーの組み方や、攻略もパターン化されてしまい取れる行動も制限されてしまう。つまり、インフレによって工夫する余地がなくなり、楽しみにくい状況になっているのです。かといって、ユーザーが購入したキャラクターを簡単に弱体化することもできず、ゲームバランスの調整はできない。インフレによるゲームバランスの崩壊は、RPG要素があるゲームを長期運営する上で、どうしても避けられない問題です」(岩崎氏)

 最近では、インフレ対策のために、ゲーム開始時にゲームバランスを調整するために、ステータスやパラメータの変更に同意することが求められるゲームも登場している。当然ながら、パズドラが今からこのような対策をすることは難しい。

パズドラの終わりはまだ遠い

 では、パズドラはSNSでささやかれるように本当に「オワコン」なのだろうか。現在のパズドラの評価について岩崎氏は語る。

「インフレし続ける現状のゲームシステムに関しては、ある意味オワコンともいえる状況です。ただし、10年以上運営が続くゲームはほとんどないなか、新コンテンツが追加されて、ユーザーが継続して遊べている現状は、『根強い人気がある』といえるでしょう。また、複数のプレイヤー同士で遊ぶタイプのオンラインゲームは、プレイヤーの人数が一定以上減ると急速に人が減り、運営ができなくなることがあります。パズドラは基本的には一人で遊べるゲームなので、急にサービスが終わることはないでしょう。ユーザー数が緩やかに減少し、いずれサービス終了する可能性もありますが、私の感覚ではパズドラがオワコンになる日は遠いと思っています」(岩崎氏)

 サービスが終了するようなゲームは、そもそも知名度がなかったり、多くのプレイヤーに忘れられてしまったりするものも多い。「オワコン」と言われつつも話題に上がっている間は、サービスが終わることはないのかもしれない。

(文=福永太郎/編集者・ライター、協力=岩崎啓眞/ゲームプロデューサー)