日本経済最大のタブー“ザイム真理教”…信者8千万人、岸田政権が増税連発の裏側

 一方、バランスシートに資産がたくさんあることを、ずっと財務省が隠し続けていたんですね。国の財務書類という統計は、高橋洋一さんという、いま嘉悦大学にいらっしゃる方が財務省在任時代につくりました。役人の習性で、一度つくった統計を途中で辞めるのは難しいんです。前例踏襲で仕事をするからです。

――国の資産にも「売れるものはたくさんあり、売れないものはほんの一部にすぎない」と書かれています。

森永氏 はい。財務省は「まったく売れない」と言っていますが。そんなことはありません。一番巨額なのは、世界でもっとも流動性が高くて売りやすい米国国債。それが100兆円くらい。あと地方債などで、全体の7割が金融資産です。土地・不動産については、一等地ばかりなので全部売れます。それらをひっくるめると、国には、ざっと1100兆円も資産があるんです。

――家計にたとえれば、収入を上回る借金をして、毎年借金だらけではないのかと言われたら、確かににそのとおりだけど、実は、その人はとんでもない資産家だったということでしょうか。

森永氏 そうです。私の試算では、2020年度末で8兆円しか借金ないんですけど、その後、岸田政権がものすごい財政の引き締めをして、日銀も国債を大量買い入れしていますから、おそらく現時点では、間違いなくプラス。貯金を抱えているんです。貯金を抱えているのに「増税をするぞ」と言っているんです。

東大法学部出身は経済学を知らない

――そのあたりは、専門家の世界での議論はされていないのでしょうか。

森永氏 ないです。というか、そういう話をすれば、たちまち干されます。

――森永さんも、その恐れはありますか。

森永氏 あります。私は小泉内閣のときまでは、いくつもの政府の審議会の委員を務めていたんですが、ある時期から全部クビになりました。任期が更新されずに次々と消えていく。そして次からは選ばれない。

――政策の方向性に忠実な人を委員会の専門家に呼んでくるのは、今も変わらないのでしょうか。

森永氏 財政制度等審議会なんて、もう信者ばっかり。というか、ザイム真理教の“教団幹部”に近い人たちを集めているんです。財務省は、ケタ違いに悪質。どこへでも洗脳しにきますからね。一方的に説明されたら、確実に信者になってしまいます。

森永氏 政治家にしても、ちゃんと経済を勉強していない人ほど簡単に“落ち”ます。反論できる人は、ほとんどいません。財務省出身の政治家も少なくありませんが、財務省が一番経済学を勉強していない。なぜなら、東大法学部が支配しているので。法学部出身者は、経済学をちゃんと勉強していないんです。あと、もっとも潤沢な天下り先を持っているのが財務省なんです。

――天下りの撲滅は、小泉内閣の頃から言われていましたが。

森永氏 世間は誤解しているようですが、これまで天下りが禁止されたことは一度もないんです。天下りの斡旋が禁止されただけです。ですから、退官後も転々と天下り先を渡り歩いて、数年ごとに数千万円の退職金がもらえるうえ、個室と秘書、専用車、交際費、海外旅行が漏れなく付いてくるという待遇です。これは、やめられないですよ。

帳簿上の債務超過はインフレを起こさない

――本に書かれている「通貨発行益」は、いまひとつ一般人にはわかりにくいと思います。お金をたくさん印刷して発行しても、国民にはなんらデメリットはないということでしょうか。

森永氏 自分が権力者だったとすると、紙切れに「1万円」と書いたら、それだけの価値の紙幣として使えるわけですよ。ということは、発行者に「1万円」の利益が転がり込んでいるということになります。これは大昔から行われています。貨幣の歴史とともに、「通貨発行権」が使われているんですね。世界中でどの時代でもみんな使っています。