住宅リフォーム・紛争処理センターの調査でも、図表2にあるように、再び増加の兆しがみられます。2020年度には593件に減ったのが、2021年度は751件に増えました。対前年度比26.6%の増加です。
soudan_web2022.pdf (chord.or.jp)
国民生活センターでも、リフォームの訪問販売に関しては関心が高く、各地の消費生活センターなどでの相談件数を毎年集計していますが、訪問販売によるリフォーム工事の被害に関する相談件数は2021年度が9734件で、2020年度の8784件から11.4%増加しています。2022年度に入ってからも2022年6月末現在で1753件と、前年度同期の1868件とさほど変わらないレベルが続いています。
しかも国民生活センターでは、点検にきたといって来訪、「工事しないと危険」などと脅して契約を結ばせる、いわゆる「点検商法」もあると注意喚起しています。こちらは2021年度が7421件で、2020年度の7023件から5.7%の増加で、やはり2022年度に入ってからも減っていないのが現実です。
リフォーム工事の訪問販売や点検商法は、繰り返しますが、高齢者世帯を主な対象としているのが大きな特徴です。離れた場所に高齢者だけで住んでいる身内がいる場合には、そうした被害に遇わないように,日常的にレクチャーしたり、被害に遇っていないか定期的にチェックすることが重要です。お年寄りは気が弱くなったり、生活に不安を感じる度合いが強まっていますから、気丈にみえても、狡猾で強引な商法には、ついつい騙されてしまうことがあります。認知症が入っていたりしても、悪質な業者はおかまいなしですから、十分に注意しておきたいものです。
話を住宅リフォーム・紛争処理支援センターの調査に戻すと、住宅に関する相談では、76.0%が「不具合あり」としています。実際に住まいに不具合が発生してから相談する人たちが多いわけです。自治体の相談窓口の担当者によると、「トラブルが発生する契約前に相談していただくのが一番です。トラブルが発生してしまってからでは、その解決は簡単ではありません」としていますが、不具合に困っている人が少なくありません。
その不具合事象や不具合箇所をみると、一戸建てにおいては、外壁や基礎に関する「ひび割れ」が20.8%と最も多く、次いでやはり外壁や屋根の「雨漏り」が14.6%、住宅設備機器の「性能不足」が11.6%で続いています。マンションなどの共同住宅においても、「ひび割れ」が13.6%のトップですが、不具合箇所としては、内壁と外壁が中心になっています。マンションですから、屋根の不具合は少なく、内部の壁の「ひび割れ」が多いようです。
その不具合発生時の築後年数はどうなのかといえば、「1年未満」が29.1%と最も多く、「1年以上2年未満」が10.3%で、2年以上になると急速に少なくなります。築後3年未満の合計が45.8%と半数近くに達します。
リフォームに関する相談では「不具合あり」の割合が64.9%で、「不具合なし」は35.1%でした。住宅では「不具合あり」が76.0%でしたから、リフォームにおいては不具合と同時に、契約を巡るトラブルなどが多いのではないかと推測されます。これから、住宅の購入やリフォームを考えている人にとっては、興味深い内容が多いので、ぜひ事前に詳細をチェックしておきたいところです。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)
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