学費は年800万円超…ハロウインターナショナルスクール安比ジャパンの全貌

 そんなハロウインターナショナルスクール安比ジャパン、なんと年間の学費が約850万~930万円、サマースクール代なども含めると年間1000万円もかかるというが、この額に見合うメリットはどんな部分なのだろう。

「先ほどもご説明した、上流階級社会への登竜門になるというのがまずありますが、それ以外の具体的なサービスや特徴でいうと、授業は少人数制で、イギリス式の学びを密に習得できます。また放課後のスポーツや美術面でのスキルや教養、その他さまざまな活動の費用も込みになっています。また寮には家庭教師がおり、宿題やわからない部分がないように指導をしてくれるほか、生徒の心身ケアの専門カウンセラーもいます。

 また特筆すべきは、学校における校長と同じくらい偉い『ハウスマスター/ハウスミストレス』という寮長さんがいること。生徒間の動向を細かく見てくれるため、非常に安心感もあるのです。生徒の成績が悪ければ家庭教師に指示を出し、友人関係で悩んでいればカウンセラーに指示を出してくれます。そんなプロフェッショナルが私生活をきちんと管理してくれるので、いじめ問題などが起こりにくいとされています」(同)

 では、8月に日本で開校したハロウ安比校の魅力はどんな部分なのだろう。

「東京ドーム2個分に当たる、約10万平方メートルの広大な安比高原に広がる敷地を有しており、緑豊かな高原の景観は圧巻です。教育内容に関しては、ここまでお話ししてきた他のハロウ校の魅力に加え、デジタル設備も充実しているとのことなので、ハロウ卒業生のライブストリーミング講演や、他のハロウ生との共同制作なども可能になっています」

日本人中学生が入学すると義務教育違反になりかねない…大きな懸念点

 だが、そんなハロウインターナショナルスクール安比ジャパンには、現状かなり大きな懸念があるそうだ。

「ハロウ安比校はインターナショナルスクールという扱いですので、外国人または帰国生など、特別な事情がある生徒を中心にしており、日本人の中学生が同校に入学すると義務教育違反になる可能性があるのです。ですから今後文科省が本校とどのような対策を講じていくのかは注視する必要があり、これが目下最大の懸念点でしょう。

 同校はケンブリッジ国際カリキュラムを採用しています。このカリキュラムで高校まで学ぶと、成績によっては日本の大学も受験する資格を持つことができます。今後、ハロウ安比校がインターナショナルスクール認定組織に認められれば、文科省が指定する認定校となり、同校卒業生は大学入学資格を持てるようになります」(同)

 今後、こうした全寮制のパブリックスクールは日本でも増えてくるのかも気になるところである。

「海外のインターナショナルスクールの業界団体誌が5、6年前に出したレポートによると、日本は治安も良く今後富裕層も増加傾向になってくるので、これからはマーケットとして有望だ、と語られていました。今回のハロウ安比校の開校は、こうした動向予想が実際に形になった最初の例だと感じています。このほかにも、今年5月には名門インターナショナルスクールのノースロンドンカレッジが日本における開校計画を発表していますし、2023年9月には千葉県柏市に、『The Nine』の一角を担う、イギリスの名門パブリックスクールであるラグビースクールが日本校を開校予定です」(同)

 今後、日本にはパブリックスクールの名門校が続々と開校していく流れができるのかもしれない。

(文=A4studio)