実際に100歳以上の方は費用をどう工面しているのか。筆者は100歳以上で首都圏の有料介護施設に入居している複数の方に聞いてみたことがある。有名企業で役員をしたり、校長を経験した方などは、年金受給額が多いのでそれほど負担を感じていないという方もいた。また、一般サラリーマンでも株や保険の運用利益でサポートしたり、不動産などの不労所得を得ているという方も少なくなかった。平均的なサラリーマンだったある方は、30代に病気でエリート街道から外れたことで不労所得に目覚め、節約を重ねアパート経営を始めた人もいる。
高額所得者の子どもから毎月20万円の仕送りを受けているケースや、子どもたちが月2~3万円ずつ出し合っているケースもあった。
有料介護施設より在宅のほうが費用は少なくて済むためデイサービスを活用する方法もある。ある家族は全員仕事をしているため日中はデイサービスを利用し、帰宅後は家族全員で面倒を見て経済的不足分を補っているというケースもある。
目新しいのは「孫ターン」だ。祖父母の面倒を見るために、孫が親の出身地に戻る例も現れだしている、先日、高円宮久子さまの三女、守谷絢子さまが久子さまのご高齢の母上の邸宅に家族で引っ越され、「おばあさま孝行」をされたとの報道があった。
人の寿命は神のみぞ知る。しかしながら、「こんなはずではなかった」ということがないようにするためには、人生100年時代が訪れることを、まず受容することが肝要だと考える。そして、現役世代から副業や資産運用、不労所得などを意識することだ。過去の高度成長期のように「何も考えなくてもなんとかなる」という時代は、二度と訪れないかもしれない。
そのためには、ネットで情報を集めるだけではなく、時間と労力をかけ、アドバイスしてくれる人を見る目を養うことも忘れずにいることだ。
人は一人では生きていけない。日本では墓地、埋葬等に関する法律が制定されている以上、火葬やご遺骨の問題が生じるため、親族が見放したとしても、病院や行政やNPOの方など、誰かの世話になることを忘れてはいけない。
こうしたことを踏まえて、ミレニアル世代は、最後まで自分らしい生き方をするために、今後のライフプランや資産づくりについて再検討していただければと思う。
(文=鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会理事長、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表)
●鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表
出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などでも活躍。