10億回再生「エガちゃんねる」D語る"下品の流儀"

(写真:『エガちゃんねる 10億回再生 下品の流儀』より)
登録者数450万人超を誇り、今年で5周年を迎える大人気YouTube「エガちゃんねる」。「あたおか」と呼ばれる熱狂的なファンに支えられ、総再生数はなんと10億回を超えるが、その裏側には過去の失敗から学んだ「したたかな戦略」があるという。
 
ディレクターであり、自身もブリーフ団Dとして番組に出演する藤野義明氏が考える、結果を残すための「下品の流儀」について、同氏の著書『エガちゃんねる 10億回再生 下品の流儀』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
 

言うなれば「羊の皮を被った下品」

広告審査に落ちるような下品な動画が多い「エガちゃんねる」ではありますが、「下品」の見せ方、商品棚に「下品」な商品をどう並べるかはチャンネルにとってとても重要だと考えています。

たとえば、「江頭、福島に行く。」と題した動画は、福島の海をバックに、ポケットに手を突っ込んでカッコつけている江頭さん、というシンプルなサムネイル。そして動画の中身の8割は、江頭さんが海の幸を堪能して福島の人々と交流するというハートフルな内容です。

ただ、それだけでは「エガちゃんねる」らしくない。動画後半では、ブリーフ団の股間を江頭さんの頭に乗せて、頭皮の感触で誰の股間かを当てる"ききちょんまげ"という下品な企画をやっています。

我々としては、この旅のメインはこの"ききちょんまげ"。こういうくだらないことがやりたくてこの仕事をやっている、と言っても過言ではありません。しかしこの動画を、我々の考えを押し付けて"ききちょんまげ"押しにしたサムネイルにすると、コアな"あたおか"は喜んでくれても一般ウケはしません。

目指しているのは、コアなあたおかも喜んでもらいつつ、多くの人にも観てもらえる動画。両方を満足させることがとても重要です。

ほかにも、「【大食い】江頭、超巨大海鮮丼に挑む!」というタイトルの動画では、もちろん超巨大海鮮丼は出てきますが、中身を見れば冒頭から「ダーツの旅」のパロディで、「お尻ダーツの旅~~ !」と江頭さんが企画タイトルを発表し、江頭さんがお尻からダーツの矢を飛ばし出す。

しかも、お尻の穴からダーツを吹き出そうとした瞬間、勢い余って穴から○○○まで漏らしてしまい……それを見たブリーフ団が爆笑しているという、もう下品の極み、最低です。

同様に、「【伝説の一杯】江頭、伝説の徳島ラーメンを食べに行く」と題した動画では、サムネイルは徳島ラーメンと江頭さん、という、パッと見はグルメ動画。しかし中身は、冒頭で徳島の風光明媚な景色を見せつつ、徳島ラーメンを食べる前に食事代を誰が出すかを決めるために"おしりあみだくじ"("あたり=江頭さんのお尻の穴"に入った人)というこれまた下品でアホなゲームへとなだれ込む。

言うなれば、「羊の皮を被かぶった狼」ならぬ、「羊の皮を被った下品」作戦。「さぁ、下品なものですよ!」と見せるのではなく、「ほっこり系の旅番組をやっていますよー」と見せかけて、中で隠し球のように下品な企画を入れ込んでいく。

ユーチューブでは「重大な発表」っぽいサムネにして、じつはたいしたことないという「サムネ詐欺」がよくありますが、我々は「なんてことない旅動画」に見せておいて、いざ動画を観てみると過激でとんでもないことをやっているので、視聴者からは言わば「逆サムネ詐欺」をしています。

とにかく、我々のやりたいことをどの側面から見てもらうか、知ってもらうか。福島と向き合う江頭さんも、徳島ラーメンを食す江頭さんも、それはそれで見せていきたい「B面の江頭さん」=江頭さんの人柄や素の面白さ=であり、尺の長さで言えばそちらがメインです。