AIの利用に反響、大学生の"勉強方法"詳しい中身

理系の授業は英語中心で、文系の授業と日常会話は中国語(正確には台湾華語)を使う。情報工学科はコンピュータサイエンスを勉強するが、プログラミングを勉強するというよりは、その根幹となる微積分、線形代数、離散数学など、数学を勉強することのほうが多いという。

3年生になった今は、生成AIに関する勉強もしているようで、ローカルのMacBook AirでAIを動かして画像解析をする課題なども行っているようだ。

AIの基本的なリクツを理解することも必要

台湾の大学での講義風景
台湾の大学での講義風景(本人撮影)

「AIを勉強に使う」ということが話題になってしまったが、そもそも彼にとっては、AIの活用について考えることも勉強のひとつだし、普通の人よりは(自分のパソコンの中でAIを動作させられるぐらいには)AIに詳しいという特殊な条件もある。しかも、日々、英語と中国語での勉強を強いられるし、趣味や旅行などやりたいことも多いので、限られた時間の中で、自分が勉強しているAIを活用しているということだ。

別にガリ勉というわけではなく、自転車や登山、キャンプが趣味
高校時代から競技に出るほど自転車にのめり込む(本人撮影)
別にガリ勉というわけではなく、自転車や登山、キャンプが趣味
別にガリ勉というわけではなく、自転車や登山、キャンプが趣味(筆者・本人撮影)

「AIを勉強に活用していいか?」というのは、この30年ほど前に我々の前にあった「コンピュータを勉強に活用していいか?」という課題に似ている。

筆者は、小学生の時に学校でそろばんを習ったが、それよりも中学生の時に小遣いをはたいて買った8ビットパソコンのほうがよほど将来の役に立った。そして、今や学校で、iPadなどを含むコンピュータが学習効果を高めるのは当たり前になっている。生成AIも「どの年齢から」という課題はあるが、そのおおまかな仕組みなども含めて理解しておいたほうが良い。

生成AIが多層のニューラルネットワークを使う「深層学習」という手法を使っていることから理解していけば、ハルシネーション(幻覚)と呼ばれる、生成AI特有の不正確な情報の生成についても理解できるはずだ。理解して使えば、これまでのさまざまなコンピュータアプリケーションやサービスと同様に、便利に使いこなすことができる。

例えば、「2桁の整数同士のかけ算の問題を100問作って」というような学習課題を生成するのに使うこともできるし、英会話にも便利(生成AIには利用規約に年齢制限があるものが多いので、その点には注意が必要。ChatGPTは13歳以上でアカウントを作成できるが、18歳未満は親または法定後見人の許可が必要)。

追加で息子に他の活用法について聞いてみた。

ほかにもある生成AIを使った勉強方法

・ChatGPTと英語で会話して、その間に自分が間違えた単語、理解していない単語だけをリストアップしてCSVファイル(Excelのような表の基になるデータ)で書き出して単語帳を作る。

・ChatGPTのアドバンスド・ボイス・モードは、英語でも、中国語でも、インドネシア語でも語学の勉強にはとても役に立つ。会話の練習にずっと付き合ってくれるし、人と話す恥ずかしさがない。

・プログラミングの勉強にもおおいに役に立つ。作りたい機能のサンプルプログラムを作らせ、それを動かして確認することができる。

・これは個人では権利的に難しいが、例えば参考書をスキャンして生成AIに読み込ませれば、単に検索可能なだけでなく、曖昧な質問(例えば、○○について説明してほしいとか)も可能なスーパー参考書が作れる。「この範囲から、学習のための問題を作って」という質問も可能。

このように、生成AIは(ビジネスに使えば効果的なのと同様)学習にも非常に役に立つ。

これからは生成AIについて理解し、どのように活用するかも重要
これからは生成AIについて理解し、どのように活用するかも重要(本人撮影)

「レポートを生成AIに書かせるんじゃないか?」とか、「テスト対策を生成AIでやるのか?」とか、そういう近視眼的な話ではなく、深い意味での知識、能力としての知性を身につけるために生成AIをどう使えばいいか? それを工夫できるように生成AIを理解して活用することが、今、学生にも保護者にも必要とされているのである。