「初対面の人とうまく話せない」を克服する会話術

「気くばり」こそ最強の生存戦略である
相手が発した言葉を繰り返す「バックトラッキング」という方法を流用するのもひとつの方法です。このバックトラッキングに共感をプラスすると、共感あいづちになります(写真:shu/PIXTA)
初対面の人と会話するときは、緊張するものです。「会話が続かない」「何を話せばいいかわからない」といった悩みを解決するにはどうすればいいでしょうか。『「気くばり」こそ最強の生存戦略である』から一部抜粋・再構成のえ、相手と一瞬で打ち解ける会話のコツを紹介します。
 

「聞き上手」になるあいづちのバリエーション

人は誰もが、多かれ少なかれ「自分の話を聞いてほしい」と思っているものです。そうはいっても、じっと黙っていたら相手を不安にさせる可能性があります。

そこで重要なのが「あいづち」です。「うん」「はい」「ええ」など最低限のあいづちに加えて、バリエーション豊かに反応できるのが本当の聞き上手。そこでぜひ意識したいのは、「リアクションあいづち」と「共感あいづち」です。

リアクションあいづちは、文字どおり、相手の話にしっかり「リアクションをとる」ということ。たとえば、「そうなんですね!」「おっしゃるとおりですね!」「たしかに!」など。

その際は、「あ行」と「は行」を意識するのもいいでしょう。相手の話に納得したときの「ああ~!」、考えさせられたときの「うーん」、びっくりしたときの「ええ~!」「おお~!」、感心したときの「へえ!」、ぞっとしたときの「ひええ」などなど。

表情や仕草も大切です。笑顔を基本として、びっくりする話のときは、ちゃんとびっくりしてみせる、悲しい話のときはちゃんと悲しんでみせるというように、あいづちに表情や仕草の感情表現を乗せましょう。

(出所)『「気くばり」こそ最強の生存戦略である』

共感あいづちとは、相手の心に寄り添って「共感を示す」ということ。相手の話から「感情」の部分を抽出し、言葉にして返すことを意識すると実践しやすいでしょう。

また、相手が発した言葉を繰り返す「バックトラッキング」という方法を流用するのもひとつの方法です。このバックトラッキングに共感をプラスすると、共感あいづちになります。

A「先日、久しぶりに夫と外食したんです」

B「久しぶりにご主人と外食されたんですね、それは素敵ですね」

これくらいバリエーション豊かに反応していると、自然と相手の満足度は高くなりますし、そんなふうに話せるよう気を配ってくれた人に対しても、当然、好印象を抱くというわけです。

会話が途切れない自然な質問方法

聞き上手になるといっても、いっさい話さないわけではありません。相手の話を受けて、自分が話す場面もあって当然。となると、上手に相手の話を引き継ぎ、さらに広げるコツも知っておくといいでしょう。

そこで鍵となるのが、質問の仕方です。質問には大きく「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」の2種類があります。クローズドクエスチョンとは、口を閉じたままでも答えられるような質問のこと。つまり、「はい/いいえ」もしくは「AorB」のひと言で答えられる質問であり、心理学では、相手の心理負担を軽減するといわれています。

ですから、会話の最初は、

「駅から会場までは、迷わずに来られましたか」

「このセミナーに私は初めて参加したのですが、あなたも初めてですか」

「お住まいはこのお近くですか」

など、クローズドクエスチョンから始めるといいでしょう。

一方、「オープンクエスチョン」とは、「はい/いいえ」では答えられず、ある程度返事に言葉数を要する質問です。あまりにもクローズドクエスチョンが続くと、会話がぶつ切りになって発展していきません。相手に、次から次へと詰問されているような印象を与えてしまう可能性もあります。