10月からの値上げも「過酷」なものとなりそうだ。帝国データバンクは約3000品目もの食品がその対象になると予想している。
夏休みに9月のシルバーウイークにと、長期休暇で散財した人も多いだろう。ここからボーナスが期待できる年末までは一気に節約モードと覚悟するほかない。
とはいえ、節約ほど人に嫌われる言葉はない。うまくいっているのに自慢もしにくい。「あの人は節約家だから……」という言葉は褒め言葉に聞こえない。なぜか。それは「節約ってつらいし、大変だし、ストレスがたまる」苦役というイメージだからだ。だからというわけではないが、「節約愛好家」でもある筆者の結論はこうだ、「節約は趣味でやるべきだ。楽しんだほうがいい」。
先に言っておくが、節約を趣味にするとは「お金を使わない喜び」を追求することだ。お金を使うのが大好き、という人はやめておいたほうがいい。ちなみに、自分は使わずに人のお金をあてにする等の行為は、趣味としては認められないので、それも含まれない。それらを踏まえて、趣味にすると起きる効果を見てみよう。
「節約が趣味なんです」と宣言すると、いかに気楽に生きられるか。
スーパーで値下げ品を買う行為に対し、ネットでは賛否で盛り上がったりするが、半額の品や見切り品を買うことが恥ずかしいと感じるのは、どこかに見栄があるからだろう。だが、「趣味」にしてしまえば、そんなことからも解放される。「趣味だから、値下げ品をみると手が出るんです。好きなブランドの新作を見ると欲しくなるのと同じですよね」と嬉々として言われれば、相手もなるほど、そうですかとしか返しようがない。これで人目を気にせず、堂々と安いものを手に取れるようになる。
節約を趣味にしてしまえば、お金を使わないための免罪符を手に入れられるのだ。「節約するのが楽しい」と公言することで、お金をじゃんじゃん使ってきらびやかに騒ぎたい人からの誘いも減るだろう。それが気の乗らない支出の原因だったとすれば、このうえなく効果が大きいはずだ。
節約とはお金を使わないことからスタートするので、どんどん買い足していくのではなく、いかに買わずにやり過ごすかを考えるようになる。
当然、まとめ買いはしない。日用品のストックも、今使っているもので終わりという状況になってからようやく買う。冷蔵庫も収納庫もスカスカなので、まだ在庫があるのにうっかり買ってしまった――という二重買いも防ぐことができる。もちろん衝動買いなど言語道断だ。
インフレ下ではモノの価値が高くなるというが、節約が好きな人にとってはお金の価値こそ最も尊むべきものだ。だからこそ、何かを買おうとする時は一大事となる。
この金額が妥当なのか、そもそもなぜこれが必要なのか。その裏付けをあれこれ考えているうちに、もういいやとすっかり買う気が失せてしまうのも、節約好きの「あるある」だったりする。
「お金は有限、アイデアは無限」というのが筆者の主義だが、節約には創意工夫の姿勢が欠かせない。特に、食費節約には柔軟な発想が必要だ。節約食材として真っ先に名前が挙がるのは「モヤシ」だが、ただ塩コショウの野菜炒めで使うのでは飽きてしまう。
筆者がよく作るのは、「ナポリタンもやし」。モヤシとピーマン・ベーコンをケチャップとソース少々で炒めるだけだ。モヤシの淡白な味にケチャップ味がからんで、十分ごはんのおかずになる。
これから寒くなると食卓には鍋料理が登場するが、我が家のカレー鍋ではモヤシが定番の具だ。