Z世代は「怒られない職場」に何を思っているのか

人って何かのコミュニティに属していると、やっぱり「どこどこの私」っていう感覚を持つと思うんですけど、SNSっていろんな人とつながることもあって、「どこどこの私」というのがだんだん曖昧になっていく性質があると思っています。

解像度の低い昭和世代のイメージですが、「どこどこ中学の○○集団の私」であるならば、誰かに怒られたとしても、「その集団の中の1人だし」って思うことができたのかなと。ただ、SNSの台頭によって、どんどん自分の存在がむき出しになっているのかもしれないなって今思いました。

舟津:うん、うん。ところでSNSで炎上しているタレントさんっていますよね。タレントの多くは事務所に所属しています。仕事の管理や、おそらくキャラ付けや発信の方向性にも、事務所を挟んでいる。だけど、SNSは個人でやるものになってて、バッファーとしての事務所が機能しないんですよね。もともと芸能界は自分を切り売りする世界でしたが、さらに拍車をかけて個人の勝負をさせられてしまっている。それは多かれ少なかれ、みなさんも似たようなことになっているのだと思います。何かを介在させずにむき出しで世の中と対峙しないといけない。

菊池:僕は「怒られたくない」というか、とある長期インターンをやったときに思ったのは、自分の行いで、会社に対して、あるいは外部の人に対して迷惑をかけたくない、というのはありました。だから、電話営業をかけるという負担の大きい仕事を割り振られたときには、やっぱり丁寧なマニュアルや指導をいただきたかったなと思います。感想みたいなもので、申し訳ないですが。

舟津:いえ、本当に感想で大丈夫です。素直に話していただくことが大事ですので。

今の話は、おそらく新入社員の方が抱える不安と似たようなものだと思います。たとえば、電話に出るのが怖い若手社員が増えているみたいな話があって、「電話に出るのが怖いだなんて、情けない」って言われがちです。だけど、電話対応をミスってお客さんが逃げたり、損害や悪印象を与えたらどうしようっていう不安があって、それを背負えないってことなんですよね。

菊池:そうです。

舟津:特に学生インターンという立場だと、そういう気持ちにはなおのことなりますよね。

会社側が若手の扱いに困ってることをどう思うか

舟津:では、今の話につなげていくと、一方で会社側はどう思っているか、ということです。ちなみに、みなさんは来年から会社で働く予定ですか。

原田:私は来年から働きます。

中村:僕もです。

菊池:僕は修士に進む予定です。

舟津:なるほど。実は最近、とある社会人の方とお話しする機会があって。はっきり言って、今の会社や上司は新入社員にビビッている。「辞めちゃうかもしれない」とか、「何考えてるかわかんない」とか、みなさんに対して不安を持っているんですよ。ということに対して、まず率直にどう思いますか。

原田:全然恐れる必要はないと思います。だって、まだ大した価値もないじゃないですか。即戦力になるなんて絶対にないんで、本当に気にしていただかなくて大丈夫です(皆、笑)。

中村:原田さんは、めちゃくちゃ謙虚ですけど、もうちょっと謙虚じゃない、就職を控えたZ世代の1人として言わせてもらうと、結論としては一緒で、怖がらないでくださいっていう。

それって、こちらとしても上司と関われないということで、機会損失なんですよね。やっぱり飲みに誘っていただきたいですし、2次会、3次会、4次会にも行きたいです。たしかに、そんなことやっちゃいけないっていう風潮はあると思うんですが、2次会、3次会でしか喋ってくれない大事な話とか、そういったことを学べなくなるのは、自分のために困るなという気持ちです。