質問力は特別な能力ではなく、スキル(技術)として習得できるものです。
そのため、言葉や方法論として認識していなくとも、すでに無意識で行っている人もいるでしょうし、独自のメソッドを意識的に行っている人も多いと思います。
今回お伝えするメソッドは、コーチング心理学やポジティブ心理学で活用されている科学的な手法です。はじめは、抵抗があっても、実践してみることで質問のスキルが身につきます。
そして、経験が積み重なるといつのまにか、質問力が高まっている自分自身に気がつくはずです。まずは行動あるのみです。メソッドを知っただけで満足せずにスキルとして自分のものにしていきましょう。
では、質問力が高まると、どのような質問ができるようになるのでしょうか。ここで、私が「問う力がすごい」と思う人の特徴をいくつか紹介します。
最もわかりやすいのは、状況を判断し、的確な質問ができる人が挙げられます。相手の表情や姿勢、トーンなどから、その人の状態を読み取ったり、会話の流れや文脈から相手の関心事や悩みを推測したりできる人です。また、そのような人は相手の反応を見極め、「こうやったら、こういう結果になってしまうのでは」と予期する能力が高いともいえます。
そして、相手の長所に焦点を当て、相手に肯定的な感情を抱いてもらったり、相手の自己肯定感を高めたりすることもできます。
他にも相手が主体的に物事を考えられるような「問い」を投げかけられる人や、相手が積極的に行動できるように質問で促せる人、相手の気づきを促すような質問をする人、多角的な視点から質問ができる人も同様に私は「問う力がすごい」と感じています。
つまり、質問力が高い人は状況や相手について考えて、相手の価値観を尊重し、理解を深める質問ができる人なのです。
相手に対して、興味や関心をもつと同時に、相手のためになる質問をすることで、相手自身の考えが深まったり、相手が行動しようとする意識を高めたりするなど、相手を良い方向に促すことができます。これが、「質問力」です。
このような質問力を身につけるために必要なことは、質問のメソッドを知識(技術)として認識して、それを理解して実践経験を積むことです。そして、これに付随して大切なことは、「自信」です。
それも、自分が「相手を質問で正しく導ける」という自信です。少し唐突かもしれませんが、プールの監視員を思い浮かべてみてください。
私は学生時代、プールの監視員のアルバイトをしていたことがあります。監視員には「泳げる」「救助できる」という技術と、「相手を助けることができる」という自信の両方が必要です。
この2つがなければ、目の前に溺れた人が現れたときに、咄嗟に身体が動いてプールに飛び込むことができないからです。泳ぎがいくら得意でも、「相手を助けることができる」という自信がない初心者には、どうしても躊躇が生まれてしまいます。どちらか片方だけでは不十分で、両方を一緒に高めていくことが重要なのです。