キャッチコピーも「見つかったら殺される」「この教室にはいないはずの生徒がいる」「7.19みいつけた」など、“あのコ”から逃げられるかといった、校内で鬼ごっこをするようなゲーム感覚で楽しんでもらうべく、ひねらずに、内容がストレートに伝わるようなコピーが選ばれた。
さらにプロモーション期間中のテレビ出演時や、メディア向けのインタビューなどでは、主演の渋谷には「わたしが出ているので観てください」ではなく、「スクリーンの中のわたしも怖がっているので、皆さんも一緒に怖がってください」といった具合に話すようにリクエストするなど、“観客との共感性”を前面に打ち出した。
キャラクターよりも作品の内容を前面に押し出す宣伝方針ではあったが、渋谷が所属する事務所サイドもそのコンセプトを理解し、かつ協力的だったという。
さらに劇中に登場する“あのコ”がスクリーンを飛び出し、実際に劇場内をうろつきまわる“絶叫上映”も札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の劇場で実施された(“絶叫上映”は複数回にわたって実施され、初回は宮城と広島の劇場でも行われた)。
スクリーンに“あのコ”が登場するタイミングで、劇場内にもリアル“あのコ”が登場し、場内をうろつきまわったり、観客の顔をのぞき込んだり、オリジナルステッカーやミニICレコーダーをプレゼントしたりするという取り組みだ。
絶叫&声出しオーケーの特別上映ということで、“あのコ”が客席の間を通り過ぎるたびに「キャー!」といった悲鳴や、「無理無理無理!」といった怖がる声などが響き渡るなど、劇場内はまるでおばけ屋敷のような様相を呈していた。
もともとは昨年の『ミンナのウタ』公開時に実施されたイベントだったが、会場のボルテージも最高潮で、大盛況だったこともあり、『あのコはだぁれ?』では初日から通常上映のほかに、“絶叫上映”の回も並行して実施。
夏休みの学生に来てもらいたいということで、“絶叫上映”は通常料金で入場可能だ。“絶叫上映”を楽しみに来たという観客はもちろんのこと、中には“絶叫上映”であることを知らずに通常の上映だと思って来場した観客もいたというが、客席のあちこちで繰り広げられる「キャー!」という叫び声を、映画の絶妙なスパイスとして楽しんだという声も寄せられたという。
宣伝プロデューサーの山崎氏も「学生さんたちにいかにして映画館に来てもらうかを考えたときに、やはり映画館でしか体験できない特殊なことを仕掛けたいと思いました。劇場さんと各所関係者にはお手間と労力をおかけしてしまいましたが、協力していただいて本当にありがたかったです」とその思いを語る。
さらに若者向けにTikTokにも力を入れたという。初日に行われた“絶叫上映”の際に、“あのコ”が劇場に向かって歩いていく後ろ姿を撮影し、投稿したところ、400万回再生と大反響。本作の認知度を上げることに成功した。
本作の公式TikTokでは映像クリエイター、コワゾーの協力のもとホラーショートドラマも次々と投稿され、大きな反響を集めた。TikTokで投稿された動画のそれぞれのコメント欄では、映画の感想や、質問などが活発に投稿されており、ここから口コミも広がっている。
本作の上映終了時期は未定。今後も反響次第で追加の“絶叫上映”も行われる可能性はあるとのこと。若者を映画館に呼び起こすためのユニークな施策にも注目だ。