「ネガティブ思考な人」が誤解している3つのこと

「今日も1日良いことばかりだった」ではなく、「悪いこともあったけど、1つだけ良いことがあった」と現実を受け止められる人の方が、幸福を感じやすいものなのです。

②ネガティブな感情を無理になくそうとする

心にネガティブな感情が生まれたとき、「こんな気持ちではダメだ……」とその感情を否定する人は多いでしょう。しかし本来、人の感情に「良し悪し」は存在しないというのが心理学の考え方にはあります。

それなのに、なぜ私たちは感情を良いもの、悪いものと考えてしまうかというと、過去にあった悪い出来事に対する刷り込みが影響しているからです。

(イラスト:『ネガティブな自分のゆるし方』より)

例えば「後ろ向きな発言はしてはいけない」「マイナスなことはできる限り考えない方が良い」といった周りの人からの教えや、ご自身の体験などにより、「ネガティブなことは感じてはいけない」と脳にインプットされているのです。

しかし、メンタル不調が始まる1つのケースとして、このような感情の否定から「自己肯定感」が低くなってしまうことがあります。だからネガティブ感情の視点を変える必要があるのです。

ポジティブ感情も、ネガティブ感情も、湧き上がってくるのは自然なことで、抑えられなくて当然です。だから、それを自分で否定する必要も、人から否定される不安を感じる必要もありません。

ネガティブ感情の「置き場所」を変えるには、自分の感情というものを事実として認識した上で、良し悪しを判断せずに「受け止める」ことが大切です。

私が行っているコミュニケーション研修には、「喜怒哀楽」の4つの感情ごとに、最近の出来事を書いてもらうワークがあります。

この研修を続けていく中で気づいたのは、長く自分の感情にふたをしてしまっている人ほど、ワークの記入ができないということです。その理由は明確で、自分の感情に向き合わず、見て見ぬふりをし続けてしまっていたからです。

また、カウンセリングをしていると、「仕事が嫌い」「上司が嫌」「なんとなくモヤモヤ、イライラする」とはいうものの、具体的にどんな気持ちなのか、自分はどうしたいのかを聞くと、「自分でもよくわからない」という人が多くいます。

変化の激しい社会を生きる私たちは、無意識に心に鎧をまとい、自分の弱さを周りに見せないようにしてしまいがちです。

この「自分の悪い部分、恥ずかしく醜い部分を見られたくない」という思いが強くなりすぎると、自分の感情を抑え込んでしまい、その反動として最近では、SNSに本心と違うことを発言してしまうケースにつながっているのです。

特に、「我慢強くてまじめな人」「自分よりも他人を優先してしまう人」がこのパターンに陥りやすい印象があります。

こうして、私たちは自分の本当の感情は何かを見失ってしまうのです。

③「ネガティブな感情を人に話してはいけない」と思ってしまう

ネガティブ感情に捉われるのがつらいあなたに、今日からすぐに試してほしいのが「愚痴る」ことです。

(イラスト:『ネガティブな自分のゆるし方』より)

なかには「愚痴ばかりを言う人は嫌われる」「愚痴を口にすると幸せが逃げる」と言われたりしますが、ネガティブな感情ほど人に話してみることです。なぜなら、「愚痴る」行為にはカタルシス効果という効果があるからです。

カタルシスとは、簡単にいうと「浄化作用」のことです。心の中に溜まっている鬱々とした感情を吐き出し、解放することで嫌な気持ちを取り除けます。

人に話しただけで、胸につかえていたモヤモヤがすっきりした経験はないでしょうか。それが、愚痴ることで得られるカタルシス効果そのものです。

「愚痴る」にはもう1つ良い点があります。