「結婚したくても、どうやって出会ったらいいかわからない」。そんな声が婚活現場にあふれる令和時代の婚活ですが、出会う方法としては、学生時代からの知り合いや知人・友人からの紹介などの「リアルつながりからの出会い」を除くと、①マッチングアプリ、②自治体の結婚支援プログラム、③結婚相談所の3経路に大体わかれています。
その中でも、登録料・紹介手数料・成婚料とかなりのお金を用意しなければならない結婚相談所には、世間一般の水準からみれば「お金持ち」の男性の登録が多い傾向にあります。
それではお金持ちの男性はどういった女性を好む傾向にあるのでしょうか?
「女性は男性に養ってもらって当たり前」というのは、今となっては筆者も含めた「中高年男女の発想」の典型例となっています。
大手結婚相談所のIBJが2024年4月に公開した「成婚白書2023」(以下、IBJ調査)から、興味深いデータをご紹介したいと思います。
結婚相談所では、男性は収入を正確に申告(収入証明書が必要なので虚偽申告はできません)しなければなりませんが、女性は任意、というのが一般的なルールとなっているようです。そのためIBJの会員調査の結果では、女性登録者の約8割はプロフィールに収入を登録していないという状況です。
しかし、収入を登録した女性としなかった女性では、統計的に見て、男性からのモテ度に有意な差が出ていることが読み取れます。
結婚相談所に登録して、成婚に至った女性も成婚に至らず退会した女性も、どちらも年収を登録していた女性のほうが男性からのお見合いのアプローチが多かったことがわかります。成婚を果たした女性では1.2倍、成婚せずに退会した女性では1.4倍、収入を登録した女性の方が男性からのお見合申込み回数が多くなっています。
では、収入を隠さない女性のほうがどうして人気があるのでしょうか。
2021年に実施された国の大規模調査「第16回出生動向基本調査」では、18歳から34歳の未婚の男女に、「あなたは結婚相手を決めるとき、次の①~⑧の項目について、どの程度重視しますか。」と質問し、各項目について「重視する」「考慮する」「あまり関係ない」のうちから1つ選択するように求めています。
この結果をみると、「相手の収入などの経済力」を「重視する」または「考慮する」を選択した男性は、1654人(回答不詳者除き)中798人で48%となっています。なんと男性の約2人に1人は結婚相手の女性の経済力を必要情報としている、ということになります。
バブル時代を謳歌した1980年代後半に20代だった現在60代以上の男女からは「そんなのは貧しい男の考えることではないのか」といったような声が聞こえてきそうですが、結婚相談所のようなお金持ち男性の集まる傾向の婚活の場であっても、年収を隠さない女性のほうがお見合いの申し込みが多い状況となっていることを考えると、「貧しい男の考え」といった意見は過去の価値観に基づく誤解であることがわかります。
「私の年収なんか気にする男はいらないわ!」といった強気の婚活は、時代遅れ感があり、統計的には避けたほうがよさそうです。
同じ出生動向基本調査で、1992年(第10回)の結果と比較すると、1992年では、「相手の収入などの経済力」を「重視する」または「考慮する」を選択した男性は26.7%でした。つまり32年前の調査であれば、約4人に1人の選択だったのです。1992年に18歳から34歳だった回答者は2024年現在、50歳から66歳です。