スイカゲーム超えも「Coffee Inc 2」驚く人気の訳

損益計算書もしっかりと見ることができ、むしろ数字から各店舗の様子をチェックしていくようなゲームといえる(画像はApp Storeより)

インディーゲーム制作は大きなムーブメント

『Coffee Inc 2』はアメリカ在住の野田智博氏が1人で開発したという。野田氏はソフトウェアエンジニアではあるが、ゲーム開発の経験はそれまでなかったという。

実はこういったゲームの登場は、現在のゲーム業界における流れの中心といえる。2000年代後半あたりから、ゲーム業界では「インディーゲーム」が流行しており、日本でもこの言葉はとても有名なものとなっている。

インディーゲームとは、独立した個人や小規模チームが制作するゲームのこと。大きな企業が作るゲームは高品質なことが多いものの、やはりマス受けを狙うなどして良くも悪くも安定した作りになりやすい。ゆえに自分たちの考えるゲームを作るため、独立して行動する人もいるのだ(ただし、もともとインディーゲームの定義は曖昧なうえ解釈が拡大化されつつある)。

例えば、世界一売れたゲームである『マインクラフト』や、TVアニメ化される『天穂のサクナヒメ』も元々はインディーゲームといえる。任天堂もソニーもマイクロソフトもインディーゲームクリエイターを支援しており、大きなムーブメントの1つといえよう。

インディーゲームの歴史はその流行よりさらに古いが、インターネットの発達が重要なターニングポイントになっていると考えられる。仮に個人でテレビゲームを作ったとしても、パッケージで流通することがメインの時代であれば、世の中に出回るようにするのは容易ではない。

しかし、ダウンロード版が普及したおかげでさまざまなゲームが販売しやすくなったうえ、PCやスマホの普及で対応プラットフォームもどんどん増えていった。インディーゲームが流行したというより、環境の変化で個人や少人数でゲームを作る人たちの才能が世に出やすくなったというべきかもしれない。

「自分がやりたいゲームを作った」

『Coffee Inc 2』はまさしくインディーゲームの流れど真ん中のヒット作品といえる。野田氏は他媒体のインタビューで「自分がやりたいゲームを作ろうと思って作った」と語っているが、これは偶然にも筆者の知人であるインディーゲームクリエイターもほとんど同じことを口にしていた。

そういった情熱を持つ人が新しいインディーゲームを作り出し、大企業にはなかなか制作できない斬新な作品として世の中に受け入れられる。今後も新たな才能や、誰もまったく知らないゲームが世に出てきて、われわれを驚かせてくれるのだろう。