これは、2020年2月に放送された『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で“中堅に差し掛かった芸人たちが第7世代の波に乗れず苦悩している”というエピソードを語る企画「僕らビミョーな6.5世代」とよく似た構図であることに気付く。
ただ、大きく違ったのは、4月12日に放送された『しくじり先生』の【完結編】で鬼越トマホーク・坂井が「俺は慶応大学入っておばあちゃんを喜ばせたかった」と前言撤回し、今後は「大学お笑いと高卒お笑いの融和」が大事だと着地させていた点だ。
実を言うと、「第7世代」ブームの後期に筆者は6.5世代にあたる芸人から「正直、仕事が被らないから文句はない」「むしろ、仕事が増えてありがたい」と聞いたことがある。
もちろん、本気で下の世代に不満を持つ芸人もいただろうが、かなり少ない印象だ。あくまでも対立構造は、バラエティーを盛り上げるための演出だったのだろう。それから数年後、近い企画でリアルな方向に舵を切っていたことが新鮮だった。
テレビは、良くも悪くも旬な出来事をまる飲みする。結果的に霜降り明星は、幅広い世代の芸人、別ジャンルのアイドルやミュージシャンなどとも共演し、YouTuberとしても人気を獲得した。
令和ロマン・くるまはもう少し絞った範囲を想定しているようだが、それが「第7世代」のように半熟なままバラエティーで消費されることも考えられるし、キャッチーなフレーズがない分、イメージに近い形で実を結び新たな文脈を生む可能性もある。
他方、例年のM-1王者が無理を押して仕事に臨み、体調を崩したという話をたびたび耳にしたものだ。働き方改革が進む中、芸人とはいえそんなスタンスは今の時代に合わない気もする。
その意味でも令和ロマンが新たな機軸を作り、次世代のトップランナーとなるのか。今後の彼らの動向にも注目していきたい。