では、イヤな記憶を思い出すことがどうしてもストレスになってしまう人は、どうすればいいか。
これは僕の知り合いが実行している方法なんですが、彼は「イヤなことを思い出した時」にするリアクションを決めているそうです。
たとえば、「大事なプレゼンで失敗してしまった」ということを思い出して、「ああー!」となってしまったら、「左手をぐっと握る」。「告白したけどふられた」ことを思い出したら、「右の耳たぶを引っ張る」とか。
そうやってリアクションをあらかじめ決めておいて実行するようにすれば、アクションのほうに意識が向きますから「イヤなこと」自体はだんだん気にならなくなってくる。これはうまい対処の仕方だと思います。
イヤなことをずっと考えるのが辛い人は、思い出した時に意識を別のことに向けるように心がけるのがいいでしょうね。寝るのでもいいでしょうし、運動するのでもいいでしょう。とくに運動は集中しやすいので、おすすめです。余計なことを考える暇をなくしましょう。
多くの人は、自分たち人間のことを「知性的な存在」だと考えているようですが、僕はそうでもないと思っています。
なぜなら、人間が物事を判断する際に使われるのは、たいていの場合、知性というより、「勘」や「その時の気分」などといった動物的な本能だからです。
たとえば、目の前にお茶と水を出されたとしましょう。あなたは、あれこれ考えた末に、お茶に手を出したつもりかもしれませんが、はたしてそれはあなたの意志によって選択した行動といえるでしょうか?
自分で選んだつもりでも、その日の温度や湿度といった環境に影響されたのかもしれないし、以前見たテレビのCMに影響されたのかもしれない。生まれつき、お茶の香りを好む遺伝的な形質があったのかもしれない。
人間は自由意志で選択したと思っているけど、たんに受けた刺激に対して、機械的に反応を返しているだけなのかもしれません。
恋愛や結婚にしてもそう。自由恋愛では、自分の意志で相手を選んだと多くの人は思っているけど、たんに脳のニューロンがたまたまそういうタイプに強く反応しているだけで、それを恋とか愛とか思い込んでいるだけ、と考えることもできるわけです。
もしかしたら皆さんは、「人間は機械じゃない!」と言いたくなるかもしれませんが、自分のことを機械的な反応を返すモノだと客観的にとらえてみると、メンタルを整えやすくなりますよ。
落ち込んだり不安になったりした時、「この機械に、どういう刺激を与えたら、調子がよくなるだろう」と考えてみましょう。