「落ち込む暇があったら、電話して」
ちょっと突き放したように聞こえるかもしれません。
でも、「感情を入れないで無心で数をこなす」ことが、断られても落ち込まなくなるためのもっとも簡単な方法なのです。
数をこなすと、データが蓄積され、感情ではなく「確率論」の世界に入ってきます。
数をこなして「確率」に目がいくからこそ、感情を排除でき、落ち込むこともなくなります。
余談ですが、私が知る証券会社の営業マンは、相場が3パーセント下がったら、必ずお客様に「一時的なことですので安心してください」と連絡を入れると決めているそうです。
感情を入れずに、機械的に決めていることなので、「相場が下がって、お客様と話しにくいな」などという余計なことを考えなくて済むというのがその理由。
そうやって、決めてしまっているから、連絡しやすいし、そのこまめな連絡がお客様からの信頼にもつながるのです。
私はよく、自分のプロフィールとして、「20万回電話営業をしてきた」と言っています。これについて、「数えたの?」と聞いてくる人がいますが、私は自信を持ってこう答えることができます。
「はい。数えていました」
私は、本当に1回1回の電話営業をデータとして蓄積していました。だからこそ、それを財産に変えることができたのです。
さあ、今からでも遅くありません。
あなたも1回1回の営業活動をデータとして蓄積してみてください。
そこに余計な感情は不要です。
ただただ、データを取りながら数をこなすだけでいい。
それだけで、未来に役立つだけでなく、たとえ断られても、「また貴重なデータが増えた」と落ち込まなくなります。
営業にとっては、「成長の近道」も「メンタルを安定させる方法」も、「数をこなすこと」にあるとお伝えしてきた本稿の最後に、カリスマ経営コンサルタントであり講演家のブライアン・トレーシーの言葉を紹介したいと思います。
「営業の神様」と呼ばれることもある、このブライアンの言葉に、かつての私はどれだけ励まされたかわかりません。
それはこんな言葉です。
「(営業は)根気よく続けなさい。成功は数のゲームである」
この言葉を知って、私は「数をこなすこと」の意義を再認識できました。そして、彼のこんな言葉を実行したのです。
「最高のセールスができるのは、常に最長の道の端で、最長の日の終わりで、最終に訪問する人に対するときである」
もう今日の電話営業を終わりにしようか……と、思ったあとのもう1本電話。
それが最長の道の端です。
「まだ最長の日の終わりじゃない、まだ最長の日の終わりじゃない」
私は毎日、もう1本、もう1本と、そう思いながら電話営業をしていました。
そうやって毎日を生きた結果が、今の私を作ってくれたのです。
本当に、「もう1本だけ」と思って、その日にかけた最後の電話が、最高のお客様との出会いになったことが何度もありました。
ちなみに私は「電話営業だけで3億円売った伝説のセールスマン」などと呼んでいただいて、いかにもすごい営業のように言われていますが、販売会社の営業時代に電話をかけた20万回のうち、成約に至ったお客様の人数は全部で250人しかいません。
言ってしまえば20万分の250!
いかにたくさん断られてきたかわかっていただけると思います。
もし、私が数をこなすことなく、1万回しか電話をしていなかったとしたら……。
今、こうして経営コンサルタントとして多くのセールスパーソンを成功に導いていることもなかったはずです。
「成功は数のゲーム」
この言葉をあなたに贈りたいと思います。