頭のよさを変えることができるかどうかについて、研究ではどう言われているでしょうか。頭のよさは「知識の量」と「情報をどれだけ容易かつ素早く処理できるか」という2つの要素によって決まります。
この2つ目の要素――「頭の回転の速さ」と言ってもいいでしょう――は、おそらく変えられません。
これまでも頭の回転を改善する訓練プログラムを開発しようとする人はいたのですが、今のところ成功した例はありません。
もう1つの要素である知識量については、簡単に変えることができます。情報を多く学べば、それだけ頭もよくなるのです。ただ、頭の回転の速い人が新しい課題を難なくやってのけるのを目の当たりにすると、そうでない私たちは落ち込んでしまうこともあるでしょう。
たとえば、チェスのやり方を覚える場合、頭の回転の速い人のほうが習得は早く、簡単に試合で勝てるでしょう。しかし、後者が練習を重ね、チェスの知識(序盤の定石など)を得たら、知識を持たない前者をすぐに打ち負かすようになります。
どんな教科であっても、望みさえすれば成績を伸ばすことができます。ただ、その教科について学ぶ必要があるということなのです。
また、「頭のいい人は間違いをしない」という2つ目の仮定は大間違いです。この世界のどこに間違いをしない人がいるというのでしょう? おそらく、頭がよく見える人は自分よりも間違いが少ないだけで、それも、その人ががんばって学習したからなのです。
ときどき「自分は課題図書を読んでないし、試験勉強もしていない」などとアピールする人がいますが、なぜそんなことをするのかと言うと「かしこい人は生まれつきなのであって、自分はがんばったって仕方がない」と信じているからです。
人生のまさにすべてを学生または教師として学校で過ごしてきた私から言わせてもらえば、勉強ができる学生は、ほぼ例外なくがんばって学んでいます。そこには、よくできていない箇所を見つけて、必要なところにエネルギーを集中させられるようにすることも含まれます。
オールAを取る人は、自分の間違いから学ぶことを恐れない人です。試験の間違いを直視すると自分はバカだと思うかもしれませんが、実際、頭のいい人も同じことをやっています。忘れないように、親もそのことを指摘してください。
また、自分がどれだけのことを成し遂げたのかも、心に刻んでおきましょう。
たしかに目標達成のために必要なことを甘く見積もっていたかもしれませんが、ここまで成し遂げたことが否定されるわけではありません。
そして、あなたの夢は、その小さな試験でAをとることではなく、目標はもっと大きく、長い道のりの先にあるはずです。1回のつまずきであきらめている場合ではありません。
それでも、失敗したテストに向き合うのにひどく抵抗があるようなら、次に紹介する方法を試してください。
最初の抵抗感を減らすため、まずは間違いの分類だけをやろうと決めてください。次の8つに分類します。
すぐに正解を調べると自分の解答を正当化したくなりますので、やめましょう。間違った問題を分類することだけに徹します。
情けなくなって自分を責め始めたら、「私がやっているのは、勉強のできる人が試験の後にやることと同じことなんだ。気分はよくないけれど、やるべきことだ」と声に出して言いましょう。
それから時間を置いて、今度は自分がなぜその問題を間違ったのかを正確に把握するために、課題図書や(必要に応じて)自分のノートに書かれた内容を見ましょう。このときに、先ほど行った問題の分類を変更してもかまいません。その後また時間を置いて、自分の間違いに共通点があるかどうかを確認しましょう。
さっさと終わらせてしまいたいのに、作業をこうして別々の時間に分けるのは気が滅入るかもしれませんが、作業を細かく分けると、それだけ怖さも減ります。