これまでのSNSとは異なる点が多いBeRealですが、何が若者を惹きつけているのでしょうか。
まず、BeRealのゲーム性が挙げられます。
「BeRealの通知が来ると、周囲の人が一斉にざわつく」と、ある大学生は言います。たとえ授業中でも、今から2分以内に何かを撮影しなければならないからです。ある人は床と天井を、ある人は友人との自撮りと教室を撮影して投稿します。その後、授業中に撮影した勇気に賛否両論したり、学食で自撮りした人はサボっていることがバレたりして友達と盛り上がれます。リアルを共有すると言ってもひどい有様とは限らず、たまたま映える写真が撮れる環境にいることもあり、その偶然性もまた楽しいのです。
そして、誰もが加工できない気軽さも人気の理由です。
加工アプリは進化していて、ごく自然に美顔加工を施したり、色味を調整したりできますが、上手に加工できる人とそうでない人がいます。また、加工には終わりがなく、妥協して投稿することもあります。でも、BeRealは誰もが平等です。バイト先のスタッフルームが散らかっていても、スタンプやぼかしでせっせと消す必要もありません。
さらに、投稿をじっくり見返されることやフォロワー数やいいね数を競うことがありません。
BeRealの投稿はプロフィールに「ピン」した投稿以外、1日で見られなくなります。少しぐらい写りが悪い写真を投稿しても、過去を見返されることがないのです。もしスクリーンショットを撮られても本人に通知が送られるため、スクリーンショットは撮りづらい仕様です。誰かにスクリーンショットを共有されて陰口を叩かれることもありません。
Realmojiは友達からも見えますが、数は表示されません。フォロワー数にあたる、友達としてつながっている数も表示されません。BeRealの中で人気を競う必要はないのです。
楽しいことばかりのようですが、気を付けるべき点もあります。通知が来てから2分という縛りのために、上述したように授業中に撮影したり、トイレなどの公共施設で撮影したりするケースもあります。マナーを守ることが大切です。また、焦って投稿するため確認がおろそかになるので、投稿前に個人情報が映っていないかをしっかり見る必要があります。位置情報も入れられますが、リスクになるかもしれないので、不安な場合は控えておきましょう。
BeRealの人気で、「映え」や「盛り」は不要になるわけではありません。SNSで「映え」や「盛り」をうまく取り込んでフォロワー数を増やし、インフルエンサーやクリエイターとして発信する人の影響力も増していくでしょう。一方で、Instagramのストーリーズが人気になったように、親しい人とクローズドな空間で深い交流をするという潮流も生まれてきています。
BeRealはリアルな友達とリアルな交流ができるSNSです。友達の知らない一面を垣間見ることで、より親密になることもありそうです。リアルを補完するSNSとして、引き続き注目していきたいと思います。