今から、創造性を測る2つのテストをやってほしい。まずはこれ。
Aが多い人は「分析的」な左脳型で、Bが多い人は「創造的」な右脳型だ。
次は2つめのテスト。次の文章を読んで、あなたに当てはまるものにマルをつけてほしい。
結果:マルが10個以上ある人はおめでとう! あなたは論理的な左脳型というより、創造的な右脳型だ。
では聞くが、あなたはこういうテストに意味があると思うだろうか?そうでないことを祈りたい。残念ながら、この手の診断はとても人気が高く、ネット上にもあふれている。そのうちの2つが、今あなたのやったものだ。
創造的な人と創造的でない人がいる、という考えは大昔からある。この考えが科学的な裏づけを得たのは1860年代、神経科学者のポール・ブローカとカール・ウェルニッケが、左脳の特定の部位に損傷を受けた人が失語症を発症することを発見したときだ。
この発見をもとに、右脳と左脳が違う働きをするという、「分離脳」の理論が生まれた。
神経心理学者のロジャー・スペリーは、左右の大脳半球をつなぐ、脳梁(のうりょう)と呼ばれる神経繊維の束を切断すれば一部の脳疾患を治療できることを実証し、その功績で1981年にノーベル賞を受賞した。
スペリーはこの知見をもとに、分離脳の性質をさらに解明すべく、さまざまな実験を行った。
例えば脳梁を切断した被験者に2つの物体を示し、1つは左目だけ、もう1つは右目だけで見てもらった。被験者に見たものを説明してほしいと頼むと、全員が左目(右脳)だけで見たものを絵に描いて説明し、右目(左脳)だけで見たものを言葉で説明することができたが、逆はできなかった。
スペリーはこれらの結果を踏まえ、「2つの思考方式」があると結論づけた。言葉を認識、分析する「言語的(左脳型)」思考と、かたちやパターン、色、感情を認識する「非言語的(右脳型)」思考である。