「雑談が面白い人」が知っている自己開示のコツ

「プラス2の要素」や「GOOD&NEW」といったテクニックを使えば、誰もが雑談に困ることがなくなり、人との距離を縮めることができます(写真:cba/PIXTA)
日本の企業はなによりも「真面目」であることを大切にする。ところが、それとは対照的に、アップルやピクサー、グーグルのような企業は、なによりも「ユーモア」を大切にすることで、大きく成長している。
 
スタンフォード大学ビジネススクール教授のジェニファー・アーカー氏と、同校講師でエグゼクティブ・コーチのナオミ・バグドナス氏によれば、ユーモアにあふれる職場は心理的安全性をもたらし、信頼関係を築き、社員のやる気を高め、創造性を育むという。
 
日本語版が2022年9月に刊行された『ユーモアは最強の武器である』について、2012年より株式会社ワーク・ライフバランスのコンサルタントとして、さまざまな企業の働き方改革を支援してきた堀江咲智子氏に話を聞いた。前編に引き続いてお届けする。
 

心理的安全性を作る雑談のコツ

雑談にはコツがあります。天気について話しはじめるなら、「天気」にプラスして2つの要素を加えて話すのです。例えば、

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「今日はいい天気ですね。今日はプール日和で、息子は泳ぎにいっているので、クタクタになって帰ってきそうです」

これは、「天気」+「子ども」「プールでクタクタ」という要素が入っています。返すほうは、3つの要素から自分が話しやすいものを選び、そこにプラス2つの要素を加えて返します。

「暑いと大人でもクタクタになりますね。自分は虚弱体質で、疲れやすいんですよ」

すると「へえ、そんなふうには見えないのに大変ですね」とテンポよくキャッチボールが続きます。

話の要素が天気の話のみだと、「そうですね」と言ってすぐに会話が終わってしまうこともありがちです。

でも、プラス2の要素を入れておけば、広がりができ、お子さんやプールの話に乗れない人でも、「クタクタになる」を自分の話に置き換えて話すなど、圧を感じずに雑談しやすくなるのです。

相手の話した要素を自分の話に置き換えることができると、自己開示ができます。そこから、ちょっと意外性のある面白い話につなげることも可能です。

「虚弱体質のために、こんな真剣な場面で倒れちゃったことがあって」というような話も、その当時は深刻だったとしても、今ならユーモアで話せるということがあるでしょう。

自己開示で「ギャップ」を見せれば勝ち

『ユーモアは最強の武器である』には、ユーモアの具体的なテクニックが解説されていますが、その中で、ギャップを利用することについて触れられています。

ギャップは、「こんなに真面目な人なのに、プライベートはそんな一面があるんだ」という点で親密さが増す効果があるのです。そのためには自己開示が必要です。

自己開示に有効な手法として、「GOOD&NEW」というワークがあります。24時間以内に起きた新しいこと、よかったことなどを1人1つずつ、1分程度で話していくものです。

大抵は、自分か家族、身近な出来事の話になりますが、職場で自己開示をすると、その人の意外な一面を知ることができ、ユーモアにつなげやすくなります。

たとえば、こんな話があります。

年配のベテラン管理職で、誰かが話しかけても微動だにせず、「ちゃんと聞いてくれているのかな?」と不安に感じさせ、悪い印象を持たれていた男性がいました。